新人君とはこんなにも罪作りなものさ女性システム管理者の憂鬱(4/4 ページ)

» 2006年07月25日 11時00分 公開
[高橋美樹,ITmedia]
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同僚:「そうなんだ。アクセス権の設定をバックアップしてあっても、肝心のアクセス権を付与する対象のグループが存在してなかったんだよね」

 同僚は一日かけて管理台帳を元に、すべてのファイルサーバに手動でローカルグループを作成し、ユーザーアカウントを入れ込んでアクセス権を1つずつ付与したという。

 同僚の部署では、グローバルグループで対応しきれない細かなニーズに応えるため、リソースドメインにローカルグループを20〜30個も作成し、アクセス権を付与していたのだ、とそのとき初めて知った。当然、リソースドメインが消滅した状況では、旧ローカルグループも消えている。同僚はアクセス権がバックアップソフトで移行できるという情報を入手し、新人君にそれを任せることを決めた時点ですっかりこのドメイン問題を忘れてしまっていたのだった。

 グループのメンテナンスの頻度が低いことや、実際ユーザーからみるとユーザーアカウント自体にアクセス権が付与されている感覚のため、ローカルグループを使用している意識が薄れてしまったのだろう。新人君には、この局面を理解すること自体無理だった。通常のシステム管理者であればファイルサーバの管理を任された時点で気付き、何らかの対策を打ち出したはずだが、新人君は言われたことを消化するだけで精一杯だったようだ。

同僚:「ほんとにあの新人君が来たせいでもう全部むちゃくちゃになった。あれだけ準備していたのに。リソースドメインのグループがこっちで使えないって、何で気づかない? リソースドメインを廃止するって話は何度もしたのに。あり得ない。もうあんな新人君が来なかったら、自分で全部やっていたら、こんな面倒なことにはならなかった・・・・・・」

 言っていることはむちゃくちゃだ。だが、こういうときは誰かにあたるのが一番だ。「いや、あなたも段取りが甘かったよね」なんて言ってしまった日には、友情にひびが入りかねない。ここは黙って新人君に悪者になってもらおう、とわたしも一緒になって「それはひどいなあ」などと合いの手を入れ、同僚の怒りが収まるのを待った。電話で思いっきり愚痴を言ったせいか、同僚も少しは気が晴れたようだった。

異動後にもやってくれるぜ、新人君

 それからしばらくして、その新人君は欠員の出た別の支店に移っていった。同僚も部下がいなくなって作業量は増えたが、ストレスは減ったらしい。愚痴の電話もかかってこなくなっていた。そんな平穏な日々が続いていたある日、またもや同僚から怒りの電話がかかってきた。

同僚:「あの新人、またやったよ! 仕事中にどこかの懸賞に応募していたらしくて、今日突然、賞品の“米”がわたしのとこに届いた。何でわたしが仕事中にあいつの異動先に米を送ってやらないといけないんだ! メール室まで10キロの米を運んでいたらまた怒りがこみ上げてきた!」

 最後まで、罪作りな新人君なのであった。

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