奪えないiPod/iTMSの市場シェア、Zuneの突破口はどこに?(2/3 ページ)

» 2006年08月10日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 7月28日時点で、Zuneについては以下のことが分かっている。

  • Zuneの第1弾となるのは携帯デジタルオーディオ/ビデオプレーヤーとこれに対応するオンラインストアで、いずれも2006年末までに登場する予定。
  • Zuneの取り組みは、Microsoftのエンターテインメント&デバイス部門が担当し、同部門のRobbie Bach社長、元Xbox責任者J Allard氏、同部門の元最高財務責任者Bryan Lee氏が舵取りを行う。これはMicrosoftの従来のデジタルメディア戦略の推進体制とは異なっている。同戦略はWindowsクライアント部門内のチームが担当してきた(これらのチームの大部分は2006年にエンターテインメント&デバイス部門に移った)。
  • 最初のZuneデバイスはハードドライブとWi-Fi接続機能を備える。未確認情報として、Zuneユーザーはこの機能により、通信可能範囲内で最大10人のユーザーに楽曲をストリーム配信したり(ただし、転送はできない)、PCから手軽にダウンロードを行ったり、Zuneストアから会員制コンテンツをまずPCにダウンロードすることなく、直接取り込んで再生したりできるようになる見通しとされる。
  • ZuneデバイスとZuneストアは、PlaysForSureとの互換性がない。つまり、ZuneデバイスはWindows Mediaストアから購入されたコンテンツを再生できず、Zuneストアから購入された曲はほかのデバイスでは再生できない。
  • Zuneブランドの製品やサービスは、“ソーシャルな”側面を持つ。例えば、ユーザー同士がお互いのプレイリストを見たり、その中の曲を試聴したり、プレイリストについての提案をしたりできる。こうした機能は、Xbox 360やMedia Center PC、Windows Mobile電話など、ほかのMicrosoft製品でも何らかの形で提供されるようになる。

果たしてMicrosoftは勝てるのか?

 Microsoftのパートナーはデジタルメディア市場で失敗してきたが、同社が成功する可能性はある。その理由はいくつかある。

デバイスとミュージックストアを1つに

 Microsoftは、iPodとiTunesに対するWindows Mediaプラットフォームの強みの1つとして、デバイスやストアを選択できることを宣伝してきた。だが、選択肢の豊富さが顧客を混乱させてしまったのかもしれない。

 PlaysForSureロゴが導入されてからも、顧客にとって、特定のデバイスで再生できる特定のタイプのコンテンツ(会員制音楽コンテンツやレンタルTV番組クリップなど)をどこで入手できるかは、なかなか分かりにくかった。さらに、Microsoftはどのパートナーとも平等に付き合うようにしたため、パートナーには差別化の手段がほとんどなく、ユーザーにとって、ある特定のデバイスやストアを選ぶ理由はほとんどなかった。

 MicrosoftがAppleの先例にならい、Zuneブランドのデバイスとストアを1つに限定すれば、こうした混乱はなくなるだろう。

巨額の研究開発費

 企業規模が巨大で手元資金が潤沢なMicrosoftは、ほとんどのパートナーよりも多額の費用を研究開発とマーケティングに投入できる。

他製品へのバンドル

 MicrosoftはZuneをほかの人気製品にバンドルしたり、連携させたりする可能性がある。例えば、同社はZuneデバイスをXboxの周辺機器や本体にバンドルしたり、ZuneストアへのリンクをWindowsのインタフェースに組み込んだり、ZuneコンテンツをPCやXbox Live Marketplaceからダウンロード配信できるようにするかもしれない。

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