断片化したままのデータはビジネスに不利だ――米Informatica幹部

企業内のデータはアプリケーションごとのデータフォーマットの壁にはばまれ、集約的に扱うことは難しい。米InformaticaのジェンタイルCMOは「これら課題を統合的に対処できるツールを提供する」と話す。

» 2006年08月15日 11時04分 公開
[堀哲也ITmedia]

 データは競争力の源泉だ。しかし、企業内のデータはアプリケーション特有のデータフォーマットという壁にはばまれ、集約的に扱うことは難しい。

 「データは膨大だ。同時に、異なる定義のフォーマットに格納されてしまっている。しかもデータは社内だけでなく、アウトソーシング先など社外にも広がっている」と指摘するのは、米Informaticaのブライアン・ジェンタイルCMO。

 さまざまに関連し合う社内システムをまたがり、データを統合して扱えなければ、データ解析も、プロセスのサイクルタイムを効率化することも難しい。規制への準拠といった問題も同様だ。データの統合はビジネスを左右する大きな要素になる。

ブライアン・ジェンタイルCMO 米InofrmaticaのジェンタイルCMO

 企業はこれらデータアクセスの問題を解決するために、個別のプロジェクトをいくつも組織していたりもする。突き詰めれば、データ統合という同じ課題を解決するために、さまざまなプロジェクトが並行している状態だ。ジェンタイル氏は「Informaticaはこれらの課題を統合的に対処できるツールを提供することで、役に立てるはずだ」と話す。

DHWの枠を出たInformatica

 Informaticaは2004年に、データ統合のプラットフォームというコンセプトを打ち立てた。同社が得意としてきたETLツールをデータ統合プラットフォームに拡張するという戦略だ。ETLとは、基幹業務のシステムからデータを抽出し、適切に変換、データウェアハウス(DWH)にロードすることでビジネスインテリジェンス(BI)を実現するツール。この機能をもっと幅広いデータ統合ニーズに適用できるものへと強化させた。

 5月に発表した「PowerCenter 8」では、「レガシーマイグレーション」や「データの連結」「マスターデータ管理」などといった課題にも対処できるプラットフォーム色を高めた。(関連記事)

 狙いどおり、PowerCenterの活躍の幅は広がっており、直近の2006年第2四半期では、10万ドル以上の案件のうち36%がデータウェアハウジング以外の商談というところにまで来たという。

 「過去2年で広範なニーズに対応できている証明だ。最も多いのはレガシーマイグレーション。メッセージングなどのデータの同期化へのニーズも多い」。今後もこれらは大きく成長する分野と見るが、Salesforce.comといったSaaS(Software as a Service)の台頭にもいち早く対応し、さらなる成長のチャンスを模索している。

コンプライアンスもデータ統合の問題

 日本版SOX法などのコンプライアンス(法令順守)にもPowerCenterは役立つという。異なるデータフォーマットで運用されている受注システムと財務システムの間をPoweCenterが取り持てば、メタデータとしてデータ自体の履歴情報を保持し、プロセスの追跡や監査に対応できるようになるからだ。

 「ビジネスプロセスの管理ばかりではなく、実際にはもっとテクニカルにデータの扱いを考える必要がある」とジェンタイル氏。

 コンプライアンス、業務の現代化、M&A、収益性の向上、アウトソーシングなどと、企業にはデータ統合にまつわる課題は多岐にわたっている。「われわれはデータをサービスとしてとらえているのが特徴だ。単一プラットフォームがこのサービスを提供すれば、どの問題から対処を始めても、横展開できる」。

 今後は、データ統合のプラットフォームとして強固なポジションを築いていきたい、と話した。

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