雷、サージ……電源を巡るトラブルからシステムを守るディザスタリカバリで強い企業を作る(3/4 ページ)

» 2006年08月25日 16時15分 公開
[佐志田伸夫,ITmedia]

 これを防ぐうえで重要な役割を果たすのが、電源管理ソフトウェアだ。こうした管理ソフトでは、設定時間以上停電が継続した場合には、UPSからサーバなどを自動的にシャットダウンするよう指令を下すことができる。

 繰り返しになるが、UPSは「1. 突然の電源喪失により機器やデータが破壊されることを防ぎ」「2. バッテリでバックアップしている間に手順どおりにデータの格納とサーバの停止を行えるよう時間を確保する」ことを目的としているのである。

 また、信頼性を上げるために入力電源が2系統になっている機器を使用する場合にも、いくつかの注意が必要である。

 第1に、当たり前だが、電源入力はできるだけ、それぞれ独立した電源/UPS/分電盤から供給することだ。1台のUPSから両方の電源入力に電源を供給していたのでは、UPSについては電源冗長性が保たれていないことになる。

 第2のポイントは、複数の二入力電源機器の中に一入力電源機器が混在している場合の配電構成だ。一入力電源機器をどちらか片方の電源だけから供給していたのでは、その電源に障害が発生すると機器が停止してしまい、システム全体の動作に影響を及ぼす。ラックマウント型の自動切り換えスイッチ(ATS)を使って、2つの独立した電源から供給を受けられるようにするのが望ましい。

図2 図2●二電源入力機器と一電源入力機器が混在する場合のシステム構成

 第3は、見落としやすいポイントだが、片側の給電系統が停止した場合でも、残る一系統の電源で運転を継続できるよう電源容量を選定する必要があるという点だ。

 二入力電源機器は、2つの電源を供給されているときには2つの入力からほぼ同程度の電流が流れるが、一方の電源が停止した場合には、片方の正常な電源から必要なすべての電源容量をまかなう。このため、バランスしている時に比べて2倍近い電流が流れることがある。これを考慮してUPSやブレーカの容量を選定しておかないと、片側の電源障害時に正常な側が過負荷になり、システムダウンすることになる。つまり、2電源が正常な時にはUPSの負荷率がそれぞれ50%以下になるように設計すべきだ。

●サージ対策

 電源ラインから侵入してくるサージに対しては、UPSや、サージ電圧から機器を保護する「サージアレスタ」という機器を設置することが有効である。これらの機器は、加えられた高いサージ電圧を許容される低いレベルまで減らすように動作する。

 最近では、電源用のサージアレスタと電話回線用もしくはLANケーブル用のサージアレスタとを一体化したような製品も販売されている。

図3 図3●サージアレスタを内蔵したコンセントの例

 この際、図1で示したようなアース電流が流れないよう、1つのシステムのアースは共通のアース端子にのみ接続するようにし、接地電位に差が出ないようにする必要がある。また根本的な対策として、電気信号ではなく光ファイバを使ってデータ伝送をすることにより、電気的サージの影響を受ける可能性は大幅に低減される。

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