ケーブリングの米CommScope、「企業は今から10Gネットワークに投資すべき」

配線システムを扱う米CommScopeは8月25日、新たに日本市場を担当するディレクターの就任を発表、10Gイーサネットにかける意気込みなどを語った。

» 2006年08月25日 17時20分 公開
[堀見誠司,ITmedia]

 「歴史は繰り返すだろう」――。ケーブリングベンダーである米CommScopeで企業向けソリューション担当上級副社長を務めるピーター・カールソン氏は、10ギガビットイーサネット(10GbE)の今後の展望について、報道関係者に説明した。

CommScopeのピーター・カールソン上級副社長

 CommScopeは配線システムやケーブル、いわゆる物理層でのソリューション提供を専門とするベンダー。カールソン氏は「ほとんどの企業にとって、配線は地味で面倒な作業。IT予算も少ない。だが頻繁に更新するソフトウェアとは違い、配線は5〜10年の長期的視点を持って行わなければならない」とケーブリングの重要性を説く。さらに、ギガビットイーサネットが企業に普及していった例を挙げながら、今後のアプリ、システムの利用帯域幅の増大やデータセンターの少数/大型化といった点で、企業が現時点で10GbEの導入を検討しなければならないと話した。

 「2000年の時点では1GbEに対する企業の需要には懐疑的な意見が多かったが、2年後には対応機器が次々と導入され、その生産性が証明された。今やノートPCを含めほとんどの機器に1GbEのインタフェースがついている。今の状況はちょうど2000年と同じで、これ以上の帯域は必要ないと思われているが、ネットワークの消費帯域幅は増える一方。10GbEは数年後には主流になる」

「スター・ウォーズ」の制作で知られるLucasfilmのネットワーク変遷。10GbEの接続数がエピソード1制作時は1つだったのがエピソード3制作時には400となり、1日に流れるトラフィック量は約15倍に増えた

 CommScopeが10GbE普及の鍵を握ると考えているのが、UTPケーブルで10GbEの配線を行う10GBASE-Tだ。10GBASE-SRや10GBASE-LX4などの光ファイバによる10GbEはWAN、MANで利用されているが、企業ではバックボーン用途になる。これをUTPに置き換えれば、光から電気信号への変換が必要なくなり、エッジまでの水平展開ができるため、コストを削減できるという。同社は独自にチャネル性能や挿入損失を改善したUTPケーブル「SYSTIMAX GigaSPEED X10D」を、米Sun Microsystemsや米Deloitteのデスクトップ接続に導入した実績を持つ。

iPatchは接続機器のIPアドレスやMACアドレスといった論理情報と、物理的接続に関する論理マップ情報をデータベースとして内部に持ち、これを参照すればユーザー端末までの接続経路を追跡できる
ケーブルの接続状況をリアルタイムに監視しており、パッチコードを抜くとSNMPトラップを送信、メールなどで管理者に通知するようになっている

 今回、日本アバイアなどでアカウントディレクターを務めた経験を持つジャリア・ランブクポタ氏が日本担当のマネージングディレクターに就任したのを機に、国内で配線(パッチング)システム「SYSTIMAX iPatch」の売り込みや戦略的なビジネスパートナーの拡大に力を入れる。

iPatchの機能を紹介するランブクポタ氏

 日本において、「SYSTIMAX」のブランドはまだ浸透していない。中国、シンガポール、インドにSYSTIMAXソリューションのショーケース「Executive Brifing Centre」(EBC)を設置して、顧客やパートナーの理解に努めているが、国内についてはまだ未定。「日本はわれわれが18年間取り組んできた重要な市場だ。顧客が戦略的投資を行えるよう、将来的にはEBCの設立を検討したい」としている。

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