.NET Framework 3.0は、.NET Frameworkのバージョンアップ版ではない(2/2 ページ)

» 2006年09月06日 08時00分 公開
[下村恭(ハンズシステム),ITmedia]
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要となるのはXML

  これらWPF、WCF、WFの根幹にあるのが、柔軟性を実現するXMLの存在だ。

 WPFでは、XMLの一種であるXAMLを使用する。Expressionでデザインされた内容がXAMLとして表現され、.NET言語で記述されたプログラムと分離することで、プログラムの変更なしに、ユーザーエクスペリエンスを変えることが可能となる。

 WCFでは、XMLで記述される設定ファイル(.configファイル)を使用する。WCFを使うことで、統一的なプログラミング方法でさまざまな通信手段に対応できるのだが、一方で、WCFを使うことで、プログラムを変えることなく、通信手段の変化に対応できるようになっている。これを実現しているのがXMLによる設定ファイルだ。例えば、設定の記述を変えるだけで、プログラムの変更なしに通信方法をHTTPからHTTPS(SSL)に変えることができる。

 WFではワークフローの記述に、XOMLというXMLベースの言語を使用する。プロセスは.NET言語で記述されたプログラムということになるのだが、プロセス間の関連が表現されるワークフローはXOMLで記述される。このため、プロセス間の関連が変化した、つまりワークフローに変化が起きた場合にも、プログラムの変更なしに柔軟に対応できるというわけだ。

 WCFやWCSに共通するキーワードに「標準」というものがある。これには2つの面がある。さまざまな通信方式や認証方式を、統一化したやり方で使用できるようにするという意味での(使用者側での)標準化という側面と、バックグラウンドで使用されるテクノロジや規格が、従来の標準規格を利用しているという面だ。これらの標準化によって、利用者、開発者双方に利益をもたらす仕組みといえる。

.NET Framework 3.0は、WPF、WCF、WF、WCSの4つが.NET Framework 2.0上に展開され、構築されたシステムに柔軟性と拡張性、標準化をもたらす(Tech・Ed 2006、T5-303「.NET Framework 3.0 概要」より引用)

 つまり.NET Framework 3.0は、高度なエクスペリエンスを実現するWPF、サービス指向アプリケーションを実現するWCF、ワークフロー・プロセス制御を実現するWF、そして、アイデンティティメタシステムを実現するWCSが、.NET Framework 2.0上に展開され、構築されたシステムに柔軟性と拡張性、標準化をもたらすものだ。

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