エコシステムが加速するエンタープライズSOA

SAPは2003年、エンタープライズSOA構想を発表、翌2004年には「イノベーションによる成長」を掲げて「SAP NetWeaver®」を市場に投入した。Javaをはじめとした標準技術をベースとするオープンなSAP NetWeaverは、「mySAPTM Business Suite」ソリューションや「SAP xAppsTM」コンポジットアプリケーションだけでなく、パートナーソリューションや顧客のカスタムアプリケーションのための技術的な基盤にもなるプラットフォームだ。SAPが構築しようとしているエコシステムは、顧客に大きな価値をもたらそうとしている。

» 2006年09月14日 00時00分 公開
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エコシステムが加速するエンタープライズSOA


 30年に及ぶビジネスプロセスの経験が、ビジネスプロセス標準化の結晶ともいえるSAPのパッケージアプリケーションを生み出してきた。しかし、継続的な成長のために、企業はその規模を問わず、取り巻く環境の変化に合わせて絶えず変わり続けなければならない。「ERP」や、それによる「ベストプラクティスの導入」を顧客企業に提案してきたSAPも例外ではなく、技術的なプラットフォームをSAP NetWeaver®として公開し、エンタープライズSOA構想の下、エコシステムの構築に動き出している。

 「エンタープライズSOAを実現するには、パートナーや顧客によるエコシステムが欠かせない」と話すのは、SAPジャパンでISVを担当する吉留繭子(まゆこ)氏。

 SAPは、エンタープライズSOAの中核的なコンポーネントとして、SAP NetWeaverをベースとする「ビジネス・プロセス・プラットフォーム」という構想を打ち出している。現在、約500のエンタープライズサービスが定義されており、それらを組み合わせ、ノンプログラミングでコンポジットアプリケーションを作成できる。ビジネスプロセスの組み替えに柔軟に対応できることからビジネス・プロセス・プラットフォームと呼ばれているが、視点を変えれば、「コンポジッションプラットフォーム」と呼ぶこともできる。

 「ビジネスプロセスが無限にあるように、新しいサービス指向のアプリケーションも無限にある。SAPだけで顧客のニーズに応えられるものではない。パートナーや顧客がエンタープライズサービスを定義したり、それらのエンタープライズサービスを組み合わせてコンポジットアプリケーションを作成していくことが重要になってくる」と吉留氏は話す。

 例えば、業界固有のノウハウを持ち、ニッチな市場で活躍しているISVは多い。技術的なプラットフォームをABAPというSAP固有の環境から、JavaベースのSAP NetWeaverというオープンな環境に移行し、公開した背景には、できるだけ多くのISVの参画を促したかったからという理由もある。

 その考え方は吉留氏の「さまざまなビジネスプロセスをISVに埋めてもらうのがSAPの新しい方向性だ」という言葉からも伺い知れる。

エコシステム強化を狙う認定プログラム

 エンタープライズSOA構想の下、エコシステムの強化を狙い、SAPではSOAベースの認定プログラム、「Powered by SAP NetWeaver」を積極的に展開している。

 下の図は、Powered by SAP NetWeaverプログラムの狙いを上手く表現している。

 従来のサードパーティーアプリケーションは、インタフェースに合わせ、外側で連携させてきたが、SAP NetWeaverの世界に取り込んでいくのが新しいプログラム、Powered by SAP NetWeaverの狙いだ。サードパーティーのアプリケーションにもかかわらず、顧客からはSAP製品と同じように見え、技術的にも同じように扱えることを目指しているという。

photo アプリケーションおよびコンポジットアプリケーションどちらもSAP製品と同じように見えるパートナー製品

 ちなみにSAPのパートナー製品認定プログラムは3つのレイヤに分類されている。すでに触れたように、アダプタなどで接続されているのが「Certified for SAP NetWeaver」、SAP NetWeaverの世界に取り込む「Powered by SAP NetWeaver」、そして最もSAPとの補完性が求められる「SAP xAppsTM Partner」だ。

 このSAP xAppsTM Partnerの成功例の1つに、Virsa Systemsがある。同社はコンプライアンスとリスクマネジメントのソリューションを提供しており、SAPと補完性の高い「SAP xAppsTM パートナー」として認定され、SAPはmySAPTM ERPのアドオン製品として同社製品をグローバルで再販していた。今年4月には、SAPによる買収が明らかにされ、5月のSAPPHIRE '06 Oralandoでは、同社スタッフを核として「GRC」(Governance, Risk, and Compliance)と呼ばれる新しいビジネスユニットの立ち上げも発表されている。

SAP NetWeaverの世界に取り込むPowered by SAP NetWeaver

 SAPが最も力を入れているSOAベースの認定プログラム、Powered by SAP NetWeaverについて見ていこう。

 ISVがPowered by SAP NetWeaverの認定を受けるには、以下のような選択肢がある。下の図は、それぞれ、SAP NetWeaverの世界でどこに位置するのかを示している。認定技術名称によって参照できるので参考にしてほしい。

認定例1:J2EEのアプリケーションをSAP Web Application Serverにデプロイし、SAP Enterprise Portal用のユーザーインタフェースも作成する(J2EE-DEP + EP-BP)
 ポータルによって統合されているので、ユーザーは外部の製品として意識することがなく、ロールベースで利用できる。ITの視点からも、アプリケーションがばらばらに稼働しているのではなく、SAP NetWeaver環境に統合されている。

認定例2:SAP Exchange Infrastructure(SAP XI)と各国、あるいは各業種に固有の外部ネットワークと接続するためのアダプタを提供する(NW-XI-AF)
 パートナーの力によって、各国、あるいは各業種の特殊な要求にも対応できる。

認定例3:外部のアプリケーションとSAPのアプリケーションをSAP XIベースでデータ連携できるようにし、SAP Enterprise Portal用のユーザーインタフェースも作成する(NW-XI-CNT + EP-BP)
 XIにおけるマッピングやメッセージングの情報もまとめて認定するため、顧客はインストールするだけで統合に関する煩雑な設定が不要となる。

photo Powered by SAP NetWeaver認定ランドスケープ

顧客アプリケーションも認定

 多くのITベンダーが導入している認定プログラムは、その大半において認定にかかるコストが必要となる。SAPの認定プログラムも例外ではなく、認定料金が設定されているが、エンタープライズSOA構想の下、エコシステムの構築を加速したい同社は、期間を限定し、無償化するキャンペーンを展開している。

 「無料にすることでパートナーが認定を受けるハードルを低くしたい。また、認定作業に関する技術的な支援も実施している」と吉留氏。

 エンタープライズSOAをベースとしたエコシステムにさまざまなプレーヤーが参画し得るのと同様、認定制度の対象もさまざまで、ISVに限った話ではない。顧客には業務に関する独自のノウハウの蓄積がある。

 吉留氏は、「業界固有のニーズに合致したコンポジットアプリケーションを開発した場合には、ぜひ認定を受けてもらいたい。ソリューションを販売するという新しい機会も生まれるからだ」と話す。

 「SAPはエンタープライズサービスやコンポジットアプリケーションが豊富に整い、パートナーは収益の道が広がる。顧客はソリューションが増え、選択肢が広がり、システムの柔軟性がさらに増す。この理想的なエコシステム拡充の図式はコアが完成し、技術プラットフォームも充実し始めたSAPだからこそ実現できるものであり、顧客に対するSOAの真のメリットを提供可能とする」(吉留氏)

 なお、10月6日(金)、東京・お台場のホテル日航東京で開催される「SAP BUSINESS SYMPOSIUM '06」第4回では、東洋ビジネスエンジニアリング株式会社や日本電気株式会社をはじめとする全17に上るパートナーセッションも用意されている。

「SAP BUSINESS SYMPOSIUM '06」お申し込み受付中!

【第4回】エンタープライズSOAのリアリティとビジョン
日時 : 2006年10月6日(金)11:00〜18:30
会場 : ホテル日航東京(東京)

【第5回】成長のための革新事例
日時 : 2006年10月10日(火)13:00〜18:00
会場 : マリオットアソシアホテル(名古屋)



主なPowered by SAP NetWeaver製品の紹介

MCFrame/PSI(東洋ビジネスエンジニアリング株式会社)
 製造業向け需給調整システム、MCFrameによるSCM分野のノウハウと、サービスパートナーとしてのSAP導入経験を活かし、SAPの既存導入顧客を中心にソリューションを展開、エンタープライズSOAの実現を目指している。また同社は海外における優良Powered by SAP NetWeaver製品の日本展開も検討している。

WiMS(株式会社ソリューション・アンド・テクノロジー)
 豊富な人事業務システムのコンサルティング経験を元に開発されたWeb勤務情報管理システムWiMSを、SAP NetWeaver環境で利用することができる。SAPのエンタープライズ・サービスはWiMSのコンポーネント化による柔軟性と主旨を同じくしており、両社のソリューションの融合によりクライアントに変化対応力のあるシステム環境を提供する。

Obbligato II(日本電気株式会社)
 国内トップシェアのPLMソフトウェアであるObbligatoとmySAP ERPの連携ソフトウェアを、SAP NetWeaver上でコンポジット・アプリケーションとして開発していく。SAPとObbligatoの連携によりSAP製品のユーザーは、統合BOM管理機能など国内製造業特有のニーズに柔軟に対応し、短期間で導入することが可能となる。


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提供:SAPジャパン株式会社
制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2006年10月13日