ウイルス作者もびっくりの強力な応援団女性システム管理者の憂鬱(2/4 ページ)

» 2006年09月14日 08時00分 公開
[高橋美樹,ITmedia]

 わたしは、なかなか開けないウイルス対策ソフトメーカーのウイルス情報をなんとか入手し、「該当するメールの添付ファイルを実行しないように」という文書を作成した。紙がもったいないなどと、悠長なことを言っていられない状況だったので、人数分のプリントアウトを各部署に配布した。

怖いもの見たさの好奇心?

ユーザーA:「これは、何?」

わたし:「ウイルス情報です。今、メールが使えなくなっているのはこのウイルスによる影響です。このメールに添付されているファイルをクリックすると、自動的にアドレス帳にあるアドレス全部にメールを送信するので、今メールサーバが大変なことになっています」

ユーザーA:「えー、そのメールって、これのこと?」

 受信トレイを見てみると、もうまさに、その件名、その本文のメールが受信されている。

わたし:「あ、これこれ。見るからに怪しいのに、ファイルを実行する人が大勢いて」

ユーザーA:「あ、僕も実行したかも」

わたし:「・・・」

 周知文書をユーザーに手渡していて分かったことだが、メールを受信した10人中、実に8人がファイルをクリックしてしまっていた。ウイルスメールの大量送信によりメールサーバの処理が滞り、ユーザーにメールが届かなくなったため、受信者も10名程度で済んでいたが、実際にはもっと多くのユーザーあてにウイルスメールが送信されていたようだった。

 ウイルス情報が周知される前に受信してしまったとはいえ、あまりに無防備過ぎるユーザーの行動に呆然としてしまった。試しに、そのファイルを実行した都内代理店向けに在庫管理を行っている1人の係長に質問をしてみた。

わたし:「仕事で英語を使うんですか?」

すると何を馬鹿なことを聞くんだといった口調の返答があった。

係長:「使うわけがないでしょう。都内の代理店さん相手の仕事で、どこに英語を使う必要があるわけ?」

わたし:「そうですよね。それでは、英文のメールが届いて不思議に思いませんでしたか?」

係長:「あ、思った。なんで僕あてに英語のメールなんだろうって。それで開いたら添付ファイルがあるから、何だろうと思ってクリックしたんだよ」

 そうか、一般の人の感覚とはそういうものなのか。妙に納得してしまった。ウイルス対策ソフトメーカーに勤めていた経験のあるわたしは、知らない人からのメールや英文メールの添付ファイルは怪しいものという先入観を持っているが、ウイルス被害を身近に感じていない一般の人は、英語だろうが知らない人からだろうが、そこには楽しい情報や有効な情報がたくさん詰まっていると信じて疑わないのだ。「今度はどんな新しい情報が届いたのか」と皆、好奇心いっぱいで待ち構えているのだ。

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