ブログマーケティングの実態――「お小遣い稼ぎ」は夢なのか?(2/2 ページ)

» 2006年09月15日 14時01分 公開
[森川拓男,ITmedia]
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 ページとは無関係に売れ筋商品を羅列するケースも同様だ。売れ筋商品や旬の商品はどうしても偏りがちなので、運営サイドの戦略によってここのブログもあそこのブログも同じものがある、といった具合になってしまう。もちろん、これにはマーケティングとブロガーの都合によっていろいろな見方ができるのも事実だ。

 一方、これらのケースであってもブロガーのカリスマ性が伴うと口コミ効果が期待できるのも事実だ。ブログという基盤によってすでに場が確立できていれば、多少の無理も許容範囲になるのだ。ここに成功への糸口が隠されている。

テーマ性を持たせること

 アフィリエイトプログラムには大きく分けて2種類がある。一つはクリック報酬型、そしてもう一つは成果報酬型だ。そのどちらにも共通するのは、ユーザーにクリックしてもらわないと報酬には結びつかない、ということだ。そしてクリック報酬型の場合には、クリックさえしてもらえれば、報酬が発生する。ブログのサイドバーなどに貼られているGoogle AdSenseなどがこれに当たる。

 成果報酬型は、その名の通り、クリックしたユーザーが商品購入をして初めて報酬が発生する。Amazonアソシエイトや楽天アフィリエイトなどがこれに相当する。

 どちらにしてもクリックしてもらわないことには始まらないが、先に述べたように、ただ商品を羅列してもクリックしてもらえないことは分かるはずだ。ここでブロガーが考えるのは、「どうすればクリックしてもらえるのか」という点だろう。まず、自分が読者であるケースを考えてみよう。アフィリエイトリンクをクリックするのはどのようなケースだろうか。

 大多数のブログで何が書かれているのかといえば、身の回りで起きた出来事だ。ケータイから写真付きでブログが書けるようになってきて、この傾向が増えてきた。そこにアフィリエイトをただはり付けても……、クリックされる可能性は限りなく低いと言わざるを得ない。もちろん、数多くのページビューがあれば可能性がなくもないが、個人ブログの多くはページビューを元に考えず、情報の特化性で勝負すべきだ。

 アフィリエイトは別にブログだけのものではない。Webサイトやメールマガジンなどでも利用することができる。そして、おそらく成功しているアフィリエイターは、ブログのみで展開している人ではない。従来からのWebページを持っていて、そこでもアフィリエイトをやっているケースが多いと思われる。前述したが、個人でオンラインショップポータルを作り上げているケースも多い。特化性で勝負か、網羅で勝負か、これは人それぞれの考え方だ。

 アフィリエイトで成功する要因はどこか。それは一貫したテーマを持つこと、ではないだろうか。Webサイトの場合、黎明期では「〜の部屋」などという現在の日記風ブログに近いものが大半を占めていたが、アフィリエイトで成功しているそれは、何かに特化した、専門的なページであることが多い。仮に、自分にそのつもりはなくとも、自然とテーマが固定され、それを求めて訪れてくれる固定ユーザーがいるはずだ。さすがにアクセスユーザーが少ない状態ではクリックしてくれるユーザーの数も伸びないが、特化したテーマがあればそれを求めるユーザーが増えてくることが想像に難しくない。それがユニークであればあるほど、リピーターが増えてくるのだ。

 もちろんブログでも同様だ。単に日々の出来事を書き連ねるのではなく、特定のテーマ性を持たせる。それを積み重ねていくことによって、訪れる人が増加するはずだ。情報に魅力がある、ブロガー自身に魅力がある、どちらのケースでもよいはずだ。そして、そのテーマに沿ったアフィリエイトプログラムを張ることで、ブログ記事を読んだついでにクリックしてくれる可能性も増えるだろう。

幸福のトライアングルは夢か

 アフィリエイトプログラムは、商品を販売している企業にとってメリットがあるからこそ、報酬が支払われる。

 そのメリットとは、企業側が労することなく、ブログやWebサイトで商品を紹介してもらえるという点だ。そして、テーマ性を持ったサイトから誘導された場合、購入される可能性もかなり高くなることはマーケティング上でも実証されている。

 アフィリエイトプログラムによっては、一定期間で売れた個数に従って、報酬のパーセンテージをアップさせる仕組みを持つものもある。この仕組みを利用してブログでアフィリエイトをする場合、ただ漫然をするのではなく、一つのテーマ性を持たせることによって、より多くの報酬を受け取ることができるようになるだろう。それが成功することで逆に企業側もアフィリエイトへの対応を強めていくはずだ。そしてブログやWebサイトを通じて商品を購入するユーザーにとっても、良い商品を紹介してもらえたという満足感が残り、うまくすればリピーターへと発展する。こうすることで、幸福のトライアングルが形成されていくのは、夢ではないかもしれない。

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