SOAを実現しやすくする組織と人材動き出したSOAのいま(1/3 ページ)

システムの全体最適化やシステム連携によって、ビジネスに俊敏性をもたらすSOA。それを支えるシステムを運用するのは、ハードでもソフトでもなく「人」なのである。

» 2006年09月22日 08時00分 公開
[生熊清司,ITmedia]

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 生熊清司(ITRアナリスト)


 これまで、2回(関連記事1関連記事2)にわたって、SOAが現在の情報システムに求められている柔軟性や構築スピードの向上、さらにROIの改善に有効であり、実現するためにはどのようなステップを踏むべきかということを述べてきた。しかし、システムを実際に構築して運用するのは、購入するハードウェアでもソフトウェアでもなく人である。今回は、SOAを実践するために必要と考える組織や人材について説明する。

求められる標準化とルール

 SOAに期待されているのは、疎結合による社内システムの全体最適化や既存システムとの連携、再利用よる開発スピードの向上によってビジネスに俊敏性をもたらすことである。これを可能にするためには以前にも述べたようにプレハブ建築やユニット家具のような標準化が求められる。

 自動車のタイヤを例に考えてみよう。車のタイヤを交換する場合、購入時と同じメーカー、同じ銘柄のタイヤにしか交換できないだろうか?

 車のタイヤの側面を見てみると、「185/65 R14 85S」のような記号が表示されているはずである。これは、タイヤのサイズや取り付け可能なホイールサイズ、耐えられる重さ、耐えられる速度などを意味している。同じ規格のタイヤならメーカーや銘柄に関係なく交換可能である。このようなことが可能になるのは、規格と規制という標準化とルールがあるからだ。

 過去、汎用機全盛の時代は、標準化やルールということはあまり問題にならなかった。これは、コンピュータベンダーごとにアーキテクチャーが異なり、ホストマシンを選択すれば、ストレージや端末機器、OSやミドルウェア、通信手順まで同じベンダーの製品を使用しなければならなかったためだ。さらに、ITの利用範囲も電算機としての高速で正確な計算処理という領域に限られており、すべては1つの規格とルールに従って企業内のシステム導入と運用が行われていたからである。

 しかし、クライアント・サーバ、オープンシステム、Webコンピューティングによって可能となった個別最適化システムは、同時に規格やルールの乱立を生み出し、システムやアプリケーションの管理者、または管理する組織が複数に分散してしまっている。

 ユーザー企業は、このような状況下で全体最適化や既存システムとの連携を行うことになるため、SOA実践には新たに標準化とルールの制定が必要となる。そこには複数のシステムと管理する組織や利用者が存在するので、調整を行う専門組織を設置することが望ましい。

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