“予備校の雄”が挑戦したオープンプリンタシステムアイティセレクト特選事例:学校法人 駿河台学園(1/3 ページ)

広範な教育機関を運営する学校法人駿河台学園は、「駿台予備学校」を擁しているが、同校での高校向けあるいは学生向けの進路指導用資料の出力量は膨大だ。メインフレームから流れてくるデータをプリントしていく、プリンタシステムの新しい取り組みを取材した。

» 2006年09月22日 09時00分 公開
[アイティセレクト]

効果測定

従来のチャネルプリンタと比べ4分の1以下のコストで同等の処理能力を発揮。


導入前の課題

90年代から使用していた高速プリンタの更新時期を迎え、従来から使用していたチャネルプリンタの後継機導入を検討したが、更新コストが予想以上に高くなることが判明。新しいプリンタシステムの導入を早急に検討する必要があった。


導入後の効果

オープンプリンタシステムの導入を決定。チャネルプリンタ後継機導入のケースに比べ、4分の1から5分の1にコスト削減を実現。導入作業期間は3カ月で、旧システムと同等もしくはそれ以上の能力を発揮できるようになった。新システム導入が業務を遅滞させたことは皆無で、オペレーターの操作環境も良くなり作業効率も向上した。


チャネルプリンタの更新時期が迫る

 金融機関を除けば、あらゆる業種の中で、紙の出力量が最大級となるのが教育機関である。駿台予備学校でも、年間の紙の出力量は約500万枚(カット紙、連続用紙両方)で、月間の最大出力量はおよそ90万枚であるという。これらは何に使われるのかというと、主に高校や学生向けの進路指導用資料としてプリントされる。駿台予備学校は高校の教育現場と密接に連携した、きめ細かい指導を進めており、全国で模擬試験などが行われるたびに、個人別、学校別の結果、評価などの詳細な資料が作成されるわけだ。

 「電子化されたデータでご提供するケースも増えてきていますが、プリントしたデータが減っているということはないですね。やはり学校、個人ともにプリントしたものを保管するケースが多いからでしょう。私たちが扱うデータは個人情報ですので、プリントをする際にも非常に慎重に対応する必要があります。決められた期限内に情報をプリントして間違いなく、正確にお渡ししなくてはならない」と話してくれたのは、駿台予備学校のシステム運用を担当するグループ企業、エスエイティーティーのIT推進事業部 学園システム 橋本憲雄次長である。

エスエイティーティー 橋本憲雄氏

 

 データで保管することは一見たやすいことと考えられがちだが、セキュリティを万全に確保した上で電子データを保管するにはそれなりのインフラが必要だ。どこの学校、あるいはどんな個人でもそのような体制が整っているかどうかは難しいところだろう。紙にプリントされたものを物理的に安全な場所で保管するほうが、実情にかなっているという判断もあるはずだ。今後しばらくは、紙ベースでの資料提供のニーズは増えることはあっても、減ることはない、という理由はそのあたりにあると考えられる。

 長年にわたって、進路指導用の資料などをプリントして顧客に提供してきた駿台予備学校だが、2003年になった時点でプリンタの更新時期を迎えた。

 「それまで非常に高速のチャネルプリンタを10年以上使っていたわけですが、もうメインテナンス時期も切れるし、保守部品も調達できなくなりつつありました。いずれにせよ、更新しなくてはならない。まず考えたのは、同じチャネルプリンタで新型の後継機を導入することでした」(橋本次長)

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