「一度の手術ですべての措置を」、ファウンドリーがスイッチにWAF機能を搭載

ファウンドリーネットワークスは、「ServerIron」向けの専用ソフトウェアを強化し、Webアプリケーションファイアウォール(WAF)の機能を追加する。

» 2006年09月22日 10時33分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 ファウンドリーネットワークスは9月20日、レイヤ4-7スイッチ「ServerIron」に、新たにエントリレベルのモデル「ServerIron 4Gシリーズ」を追加した。同時に、専用ソフトウェアを強化し、Webアプリケーションファイアウォール(WAF)の機能を追加している。

 ServerIronは、負荷分散やコンテンツ/トラフィック管理といった機能を提供するアプリケーションスイッチ。SSLのオフロードやDoS攻撃からシステムを保護するセキュリティ機能なども備えており、主にデータセンターや大規模企業向けに提供されてきた。

 これに対し新製品は、より小規模な企業を対象としたモデルだ。管理機能専用プロセッサの搭載やハードウェアによるL2/3フォワード、ASICによるDoS攻撃からの保護といったアーキテクチャは、既存のハイエンド機種からそのまま引き継ぎつつ、「形状だけ小型化した」(同社のL4-7およびセキュリティプロダクトマーケティング担当ディレクター、ゴパラ・ツムルリ氏)。ホットスワップ可能な冗長化電源など、信頼性を高める機能もそのままという。

 「いわゆる大手企業だけでなく、中小も含めたほとんどの企業/組織にとって、IPベースのアプリケーションがビジネスを推進する力になっている。そこで、可用性やアプリケーションの高速化、セキュリティを実現するハイエンドスイッチの高度な機能を、エントリ向けに手ごろな価格で提供する」(ツムルリ氏)

 ServerIron 4Gシリーズには、「ServerIron 4G」と「ServerIron 4G-SSL」の2モデルがある。いずれも1.5Uサイズの筐体に4つのギガビットイーサネットポートを搭載し、アプリケーションスループットは最大2Gbps。ServerIron 4G-SSLはハードウェアアクセラレータによるSSLオフロード機能も備えている。参考価格はそれぞれ151万7000円、189万7000円で10月より出荷が開始される。

Foundry Networksのゴパラ・ツムルリ氏

 同時に、新モデルも含めたServerIronシリーズ向けの専用OS「TrafficWorks OS」の新バージョンも発表された。

 新バージョンの最大の特徴は、Webアプリケーションを狙う攻撃を防ぐWAF機能が搭載されること。バッファオーバーフローやSQLインジェクション、クロスサイトスクリプティングといった攻撃に加え、CookieポイズニングやHiddenパラメータの書き換えなど、幅広いアプリケーションレベルの攻撃を検出、ブロックできるという。

 「Webアプリケーションというものはどうしても、開発時に脆弱性やセキュリティホールが作り込まれてしまう。開発者はミスとも無縁ではない。後からアップグレードして修正するという手もあるが、非常に手間が掛かる上、新たな種類の攻撃まではカバーできない」(ツムルリ氏)。そもそも、独自プロトコルを用いるアプリケーションに比べ、Webはオープンであるがゆえに「攻撃を受けやすい」(同氏)という。

 こうした状況を踏まえると、「サーバの前に保護のレイヤが必要だ」とツムルリ氏。それも、既存のWAF製品のように単体のアプライアンスとしてではなく、マルチレイヤスイッチの機能の1つとして保護を提供することで、シンプルかつ包括的な保護を提供できるとした。

 「アプライアンスを複数並べるのは、病気の患者に何度も外科手術を施し、開腹しては縫合するという作業を繰り返すようなもの。それよりも、一度の開腹ですべての措置を施す方が良いし、パフォーマンスも高い」(同氏)

 ツルムリ氏はさらに、今後はレイヤ7でのセキュリティが求められるとした。その例がVoIPだ。

 ServerIronではすでに、SIPプロトコルの正常性を確認し、保護する機能を提供しているが、これはあくまでSIPのコントロールプレーンに関するもの。今後はデータプレーンのセキュリティについても解決が求められるだろうが、それは「パフォーマンスとのトレードオフになるだろう」と同氏は言う。いかにパフォーマンス、すなわち音声の品質を保ちながらセキュリティを確保していくかが今後の課題だとした。

 TrafficWorks OS 9.5.02は12月より提供される予定だ。既存のユーザーは無償でアップグレード可能となる。

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