GNUクラスターリング・プラットフォームGlusterはスーパーコンピューティングとスーパーストレージの普及を目的とするクラスターディストリビューションだ。HPCクラスターリング、ストレージクラスターリング、エンタープライズプロビジョニング、データベースクラスターリングなど、特定用途向けアプリケーションを開発するためのプラットフォームを提供する。
インテルIA32またはx86-64、RAM 512Mバイト以上のシステムで動作する。ディストリビューションには依らず、Debian、Fedora、Ubuntu、Red Hat、Slackware、Scientificなど、広範なディストリビューションで動作確認済み。ISOイメージが提供されており、ダウンロードしてブータブルCDを作ることができる。
ハイパフォーマンスコンピューティング向けGlusterHPC、システムプロビジョニングと自動プラットフォーム管理向けGlusterEPなど、特定用途向けクラスターアプリケーションに同梱する形で提供されている。クラスター・ファイル・システムとしては、GlusterFSがあり、ペタバイトにまで拡張可能だ。
Glusterで優れた点の1つは、Pythonスクリプトのエクステンションの形で機能を拡張できることだろう。各エクステンションは2つのファイルから成る。仕様ファイルはエクステンションのメタ情報で、管理者の氏名、エクステンションの種類、アプリケーション/ライブラリー/ツールの別などを記述する。エクステンションの実体は.tgz形式のアーカイブに格納され、エクステンションをインストールする際に抽出展開される。エクステンション自体は、シェルスクリプトまたはバイナリPythonスクリプトで記述する。
手元にあるコンピュータシステムでクラスターを構成できない場合は、BOINCが利用できる。これをLinuxサーバに設定すると、世界中のボランティアにプロジェクトへの参加を呼びかけ、システムリソースを提供してもらうことができる。参加は、サーバとリソース提供者間を仲介するBOINCクライアントをダウンロードしてセットアップするだけだ。
BOINCはSETI@homeプロジェクトから生まれたもので、世界中の40万台以上のコンピュータ上で動作し、全体で613.851TeraFLOPSという膨大な処理速度を持っている(BOINCstatsによる)。
インテルx86互換プロセッサ上のMicrosoft Windows(95以降)とLinux、Motorola PowerPCまたはインテル上のMac OS、SPARC互換プロセッサ上のSolaris 2.7以降など、多くのプラットフォーム向けBOINCプログラムが提供されており、それらのシステムを相互につなぐことができる。
BOINCサーバとクライアント間のデータフローは、商用インターネット接続を介して流れる。中には速度の遅い接続もあるため、1日に1Gバイトを超えるデータが発生するあるいは処理するような応用には向かない。
コンピュータの高速クラスターを作るのは決してたやすいことではない。しかし、今や、クラスター管理用のオープンソースソフトウェアが、プロプライエタリ・ソフトウェアを駆逐しつつある。
ここに紹介したプロジェクト以外にもPVM、OSCAR、Grid Engineなどのオープンソースクラスターリング製品がある。各製品には、クラスター上で実行するアプリケーションに応じて得て不得手がある。
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