【SOA最新動向】規格編――SOA参照モデルがITに与える影響動き出したSOAのいま(1/3 ページ)

コスト削減、内部統制、セキュリティ……取り組むべき課題の多いユーザー企業にとって、SOAは後回しにしがちなテーマだ。だが、関連規格の標準化は進み、SOAに対応できる環境が着々と整備されていることにも目を向けてほしい。

» 2006年09月27日 08時00分 公開
[渡邉利和,ITmedia]

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 一時期大きな注目を集めたSOA(サービス指向アーキテクチャー)だが、最近は企業内部統制/ITシステム統制やセキュリティなど、SOX法対応関連の話題に押されてあまり目立った動きがないようだ。しかしながら、環境整備は着実に進んでおり、長い目でシステム刷新に取り組むことが現実的になりつつあるようにもみえる。

OASISのリファレンスモデルがもたらすもの

 非営利業界団体であり、WebサービスやSOAの標準化に積極的に取り組んできたOASISでは、今年8月2日付けで、OASIS SOA Reference Model TC(TC:Technical Committee、技術委員会)で作業中だった「OASIS Reference Model for Service Oriented Architecture V 1.0」を公開した。

OASIS SOA Reference Model TCのWebページで統一モデルを参照できる

 これは、SOAを実装する際の基礎となる抽象度の高いモデルを定義するもので、「SOAとはどのようなものか」という認識を統一する役割を担う。基本的には何か新しい要素が追加されたとか、従来にない新しい技術が盛り込まれるといった類の話ではなく、実装技術に依存しない最上位レベルのモデルが提示されたということなので、実際の製品などに影響を与えるものではない。

 しかし、このリファレンスモデルの成立によって、今後ITシステムにSOAへの移行を念頭に置いた変更を加える際にも一定の指針が得られることになる。また、「SOAとは何か」という点でユーザー企業の意識が統一されれば、SOA対応製品やインテグレーションサービスもそれに合わせてある程度統一されたイメージに沿うことになり、利用しやすくなるだろう。

 逆にいうと、これまではイメージ先行であり、製品レベルでは狙い所や実現している機能がまちまちという感があったSOAも、ようやく業界として統一的なモデルが成立し得る段階にまで成熟してきたのだとみることもできる。実のところ、このリファレンスモデルの内容自体はさほど大きなインパクトをもたらすものではないが、リファレンスモデルが成立し、ユーザー企業と製品ベンダー、システムインテグレーターなどがそろって参照するようになれば、その意味は大きなものとなるだろう。

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