メインフレーム譲りの仮想化や信頼性で企業システムを変革するIBM System p

日本IBMが「Powerフォーラム 2006 秋」を開催し、企業のITに「性能」「柔軟性」、そして「信頼性」をもらたすSystem pサーバを売り込んだ。

» 2006年09月27日 07時30分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 日本アイ・ビー・エムは9月26日、都内のオフィスで「Powerフォーラム 2006 秋」を開催し、企業のITに「性能」「柔軟性」、そして「信頼性」をもらたすPowerプロセッサベースの「IBM System p」を売り込んだ。

 「IBMのパワーの源泉はテクノロジー。それを余すところなく製品に盛り込んでいる」と話すのは、日本IBMでSystem pを担当する武藤和博事業部長。2005年にIBMが取得した特許の数は2972件に上り、2位のキヤノンを1100件以上も引き離している。System pを支えるPowerプロセッサも、常に半導体のイノベーションをリードしてきたIBMラボから生まれた。

 「われわれIBMは、他社のプロセッサ開発スケジュールに左右されない」と武藤氏。

System pを担当する武藤事業部長

 今でこそ、医療機器や自動車、ゲーム機、携帯電話など、コンピュータ以外の分野でも利用が拡大しているPowerアーキテクチャーだが、1980年に登場したPowerプロセッサの成長を大きく後押ししたのは、IBMのUNIX OSであるAIXだ。そのAIXも、今年20周年を祝っている。

 エンジニアリングワークステーションやハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)で利用されていたPowerプロセッサやAIXに大きな転機が訪れたのが1994年。SMP構成のサーバ(当時の名称はRS/6000)と、それに対応したAIX V4の登場によって、スケーラビリティーが次第に高まり、企業市場でも主に情報系システムを中心に導入されていくようになった。

 2001年には、業界で初めてクロック周波数が1GHzの壁を破り、また、業界初のデュアルコアとなる「Power4」が登場、メインフレーム譲りの仮想化機能やオートノミック機能がこのときから盛り込まれ、柔軟性や信頼性が加わり、基幹システムへの導入も始まった。

 現行のハイエンドモデルである「System p5 595」は、2.3GHzで動作するPower5+を32基(64コア)搭載し、その性能は業界で初めて400万tpmを超えた。これはItanium 2を搭載したHP Superdomeの3倍以上という。

 ライバルたちを圧倒する性能を効率良く生かすには、仮想化の技術が不可欠だ。1973年にS/370が物理分割(PPAR)をサポートしたのを皮切りに、1987年にはメインフレーム上で論理分割(LPAR)もサポートした。以来30年、IBMは仮想化技術をリードしてきたと言っていい。現在のPower5+とAIX 5Lの組み合わせでは、1つの物理的なプロセッサを最大10の論理区画に分割し、負荷に応じてCPU資源をアプリケーションに対して動的に割り振ることができるという。

 4大テニストーナメントの1つである全米オープンのWebサイトをIBMが運営しているのはよく知られているが、同社は今年の全米オープンに向けて、それまでSystem pとIntelプロセッサベースのSystem x、計60台で構築されていた複雑なシステムを9台のSystem pにリプレースしたという。

 武藤氏は、「IBMの仮想化技術を活用すれば、1台のSystem pサーバでスケールアップにもスケールアウトにも対応できる“スケールウイズイン(Scale Within)”を実現できる」と話す。

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