横浜市は「AA−」――日本で初の依頼に基づく自治体格付け驚愕の自治体事情

米国の有力債券格付け機関スタンダード&プアーズは、神奈川県横浜市に対し、「AA-」の長期発行体格付けを付与したことを明らかにした。

» 2006年10月05日 16時20分 公開
[ITmedia]

 「金利から読み解ける地方財政の実情」をお届けしたばかりだが、この動きを象徴するような発表が、米国の有力債券格付け機関スタンダード&プアーズから届けられた。

 同社は10月4日、神奈川県横浜市に対し、「AA-」の長期発行体格付けを付与したことを明らかにした。同社は米国以外でも35カ国244地方自治体に格付けを付与しているが、日本の自治体から依頼を受けて格付けを付与するのは、今回の横浜市が初めてとなる。有利な金利による市場公募債の実施など、今回の格付けから得るものは大きい。

 今回の格付けの理由について同社は、横浜市が多様な産業基盤を持つ上、住民の所得水準が比較的高く、政令指定都市のなかでも自主財源の基盤が比較的強固であることを反映したものであるとその理由を説明している。

 政令指定都市の特徴として特別会計・公営企業会計の規模が大きく、国際比較でみて非常に高い債務水準となっていることが挙げられる。これは横浜市にも当てはまるが、投資的活動前収支に対する歳入の比率が30%前後に保たれていることから、歳入の落ち込みにも十分な柔軟性あると判断。また、中田市長の強力なリーダーシップによって債務削減努力の効果が出はじめていることから、今後、債務返済能力は向上すると考えられる。

 格付けには中央政府による支援を一定程度織り込んでいるため、日本のソブリン格付け(AA−/ポジティブ)の影響も受ける。ただし、ソブリン格付けと直接の連動性はないとしている。

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