IPAは「2006年度日本OSS貢献者賞」の受賞者を発表した。50名の候補者から選ばれたのは比嘉康男氏、平林俊一氏、山本博之氏、吉藤英明氏の4人。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は10月10日、優れたオープンソースソフトウェア(OSS)の開発者を表彰する「2006年度日本OSS貢献者賞」の受賞者を発表した。50名の候補者から選ばれたのは比嘉康男(ひがやすを)氏、平林俊一氏、山本博之氏、吉藤英明氏の4人。
同賞は、日本におけるOSS開発の振興を図ることを目的としたもので、今回で2回目。影響力のある開発プロジェクトを創造、運営した開発者やグローバルプロジェクトにおいて活躍する卓越した開発者や普及に貢献した者を表彰する。昨年は、鵜飼文敏氏、高橋浩和氏,、林哲氏、まつもとゆきひろ氏の4名が受賞している。
比嘉康雄氏は、J2EEサーバのDI(Dependency Injection)コンテナ「Seasar」の開発者として知られる。実装もさることながら、優れたプロジェクト運営により開発コミュニティに成長させていること、ビジネス市場に大きな影響を与えていることも評価された。
平林俊一氏は、C++統合開発環境「WideStudio/MWT」の開発プロジェクトに携わってきた。LinuxやBSD、MacOS、BTRONなど多数のプラットフォームに対応しており、C/C++、Java、Rubyなど広範囲なプログラミング言語をサポートしているOSSは世界でも有数であり、海外を含めて数万人の利用者がいることも選定理由となった。
山本博之氏は、メールクライアント「Sylpheed」の開発で知られる。多くのメールソフトがビジネスベースで開発されているのに対して、主に個人として地道な活動を続け、世界に広めた実績が評価された。現在はSRA OSSで、同社のデスクトップ関連ビジネスの中核として活動している。
吉藤英明氏は、Linux用IPv6プロトコルスタック「USAGI」の開発が評価された。IPv6プロトコルスタックをLinux本体のソースコードツリーに統合するために尽力し、このことはLinuxにおける日本からの大きな貢献の1つとみなされている。また、大学での研究成果を反映・還元している良いモデルケースであることも評価が高かった。
2006年度日本OSS貢献者賞の表彰式は、10月24日に明治記念館で開催される「IPAフォーラム2006」で行われる予定。
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