AppExchangeインキュベータでスタートアップ企業を支援する新たな試み

Salesforce.comは、年次カンファレンスの「Dreamfore'06」で、AppExchangeを活用したインキュベーションサービスを始めると発表した。技術提供はもとより、オフィススペースの貸し出しまでも行う。

» 2006年10月11日 17時10分 公開
[谷川耕一,ITmedia]

 Salesforce.comは、年次カンファレンスの「Dreamfore'06」において、新たな試みとしてAppExchangeを活用したインキュベーションサービスを始めることを発表した。オープニングセッションのCEOマーク・ベニオフ氏の発言によると、もともとSiebel社の本社だったビルの空いているオフィスを利用し、オフィススペースを貸し出して、そこを起点に新たなビジネスを起業しようとする人たちをサポートするサービスである。

 オープニングセッション後のグループインタビューの席で、製品マーケティングの責任者であるシニアバイスプレジデントのティエン・ツォ氏は、AppExchangeインキュベータについてAppExchangeのアプリケーション構築の仕組みを用いた、スタートアップ企業をサポートするサービスだと説明した。世界のいくつかの都市にsalesforce.comがインキュベーションセンターを作り、机、電話、会議室などのオフィスインフラ、顧客やパートナー、投資家との連携のサポート、アプリケーション構築時の技術的なサポート、構築した製品の販売時のサポートなど、企業の状況ごとに必要となるサポートを提供する。

 2007年の第1四半期に、まずは米国で最初の拠点としてカリフォルニア州サンマテオの元Siebelの本社オフィスを利用しサービスを開始する。今後12〜18カ月の間で米国以外の都市でのプランを検討することになるが、現段階の構想としてインドのバンガロールや日本の東京などもこのサービスの対象候補に入っているという。

「日本では東京だけでなく、京都や大阪、札幌などさまざまな都市でこのサービスが展開できると面白いと考えている。こういったことを日本でやっていくことには、期待している」(ティエン・ツォ氏)

 このインキュベーションサービスを行う考えは以前からあったが、今回オンデマンドの開発言語でありプラットホームでもあるApexの発表ができたことで、これと同時にアプリケーション開発の起業を支援するAppExchangeインキュベータの発表が行われた。実際にこの仕組みを利用して起業を希望する人は、まずはこのインキュベーションセンターに出向き、担当のスタッフと会ってじっくりと話をすることが最初のステップとなる。開発するアプリケーションの市場性など含めてコミュニケーションを図り、必要なサービスを協議して決めていくことになる。

 なお日本での本サービスの開始時期、インキュベーションセンターの場所などの具体的な展開については、現段階ではすべて未定とのこと。

顧客志向のための新たな試み

 また、顧客の声に耳を傾ける新しい試みとして、アイデアのエクスチェンジの場であるidea exchangeの開始が発表された。こちらは、顧客から要望や改善案などのアイデアを提供してもらい、それらを公開して自由な意見交換を行い、アイデアに対してはさらにほかの顧客から投票してもらうという仕組みだ。

「通常のブログでも双方向のコミュニュケーションは可能だが、一方的な情報提供になりがちだ。これを拡張してアイデアに対して投票する機能を付けたことで、2ウェイでのコミュニケーションが可能となった」(ティエン・ツォ氏)

 すでにこのサイトは30日間ほど運用しており、実際に2ウェイでのコミュニケーションが始まっているという。とはいえ、参加しているのは全顧客の中の1%程度にしかすぎないため、今後はさらに残り99%のより多くの顧客から意見が集まるように工夫していきたいとのことだ。

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