No.1 UNIXベンダーのIBM、「価格性能」と「仮想化」で顧客に価値をIBM Power Seminar 2006 Report(1/2 ページ)

IBMは、価格性能と仮想化技術によってUNIXサーバベンダーのシェアトップに躍り出た。「SPARC/Solarisの人気に陰りが見えるし、日本以外の地域ではItaniumに勢いはない」とSystem pのGM、マウリ氏は話す。

» 2006年10月12日 07時30分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 雨季が終わり乾季が始まったばかりのタイ・プーケットで10月11日、アジア太平洋地域のSystem pユーザーを集めた年次ユーザーカンファレンス、「IBM System p“Knowledge is Power”Seminar 2006」が開幕した。ここ数日はバケツをひっくり返したような嵐に見舞われたプーケットだが、オープニングセッションが始まるころにはアンダマン海の空にも明るさが戻ってきた。

 「IBMはUNIXサーバのナンバーワンベンダーとして、プロセッサ、システム、そしてアプリケーションを含めたソリューションという、さまざまなレベルでイノベーションを図り、顧客に高い価値を提供していく。顧客の成功こそがわれわれの成功だ」と話すのは、今年1月からSystem pの事業を統括するロス・マウリGM。

IBMは、UNIXサーバ市場を常にリードし、価格性能で競合を凌駕し、イノベーションによる価値提供を約束する、と話すマウリGM

 UNIXサーバ市場で3位に甘んじていたIBM System pがSun MicrosystemsやHewlett-Packardを追い抜き、首位に躍り出る軌跡は興味を引くものだ。ここ数年のIT業界、特にUNIX業界の動きをよく反映しているからだ。

Sun、HPに代わってIBMが首位に

 マウリ氏がオープニングセッションで誇らしげに見せたチャートは、IBM、HP、およびSunのシェア(金額ベース)を四半期ごとに表したもの。2001年第1四半期に約35%のシェアで首位にあったSunだが、ドットコム・バブルの消失に伴って下降線をたどり、現在では28%前後の3位に後退している。Sunに代わって2002年、首位に立ったHPはPA-RISCからItaniumへの移行を積極的に進めているが、2005年第2四半期に2位に後退し、今は30%前後で横ばいとなっている。

 「Sunは売り上げの10%をOpteron搭載サーバのGalaxyで稼いでいるが、そのうち75%はLinuxが稼働している。SPARC/Solarisの人気にも陰りが見える。PA-RISCからの移行を進めるHPだが、日本は例外として、それ以外の地域でItaniumに勢いはない」とマウリ氏。

UNIXサーバのシェア推移(金額ベース:IDC調べ)

5年、10年先を見越した投資

 IBMは、PowerプロセッサとAIXに5年、10年先を見越した投資を継続してきたとマウリ氏は強調する。2001年には、業界で初めてクロック周波数が1GHzの壁を破り、また、業界初のデュアルコアとなる「Power4」が登場、メインフレーム譲りの仮想化機能やオートノミック機能がこのときから盛り込まれ、柔軟性や信頼性が加わり、基幹システムへの導入も始まった。

 現行のハイエンドモデルである「System p5 595」は、2.3GHzで動作するPower5+を32基(64コア)搭載し、その性能は業界で初めて400万tpmを超えた。これはItanium 2を搭載したHP Superdomeの3倍以上という。

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