「仮想化」こそ次のフロンティア──メインフレーム譲りの高信頼で一歩抜け出すIBM System pIBM Power Seminar 2006 Report(1/2 ページ)

タイ・プーケットの「IBM System p“Knowledge is Power”Seminar 2006」では、IBMが常に業界をリードし続けてきた仮想化技術にスポットライトが当てられた。

» 2006年10月12日 13時02分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 「CIOの86%のサーバ統合に着手している。仮想化は自然の流れだ」── 今年5月、McKinseyがとりまとめた調査はこう結論づけている。

 10月11日、タイ・プーケットで開幕した年次ユーザーカンファレンス、「IBM System p“Knowledge is Power”Seminar 2006」では、IBMが常に業界をリードし続けてきた仮想化技術にスポットライトが当てられた。

 IBMは今から40年前に遡る1967年、ハイパーバイザーを開発、同社の仮想化技術は以来40年の歴史がある。1973年に物理分割(PPAR)をサポートした最初のマシンを投入、1987年にはメインフレーム上で論理分割(LPAR)もサポートした。

 System pでは、2001年にPower4ベースのシステムでLPARをサポートし、現在のPower5+とAIX 5Lの組み合わせでは、1つの物理的なプロセッサを最大10の論理区画に分割し、負荷に応じてCPU資源をアプリケーションに対して動的に割り振ることができる「マイクロ・パーティショニング」も実現している。

 しかし、サーバの平均的な使用率に目を転じてみると、ウインテルサーバが10%未満、UNIXサーバでも約15%にすぎない。一方、仮想化のノウハウがユーザーにも浸透しているIBMのメインフレームでは、使用率は85%に達しているという。

 「この差は? ピーク時の負荷に合わせて大きなサーバを購入していけば、大半のリソースが遊んでしまう。仮想化技術を活用すれば、ピークに応じてリソースを使い回すことによって、本来システムが持っている能力をフルに引き出すことができる」と話すのは、System pのマーケティングを統括するカール・フロイント副社長。

Cray ResearchやSGIで働いた経験もあるというフロイント氏。System pの前はTivoliのマーケティングを統括していた

 フロイント氏は、仮想化が単にハードウェア導入コストを抑制するだけでなく、ファシリティ、メンテナンス、そしてソフトウェアライセンスのコストまで抑制できることをPower Seminarの参加者らに強調する。

 「すでに多くの顧客らが、仮想化がさまざまな領域でIT支出の抑制に効果があることに気づいている。仮想化こそ次のフロンティアであり、市場はこの変化を受け入れ始めている」とフロイント氏。

System pの仮想化技術はメインフレーム譲り

 しかし、物理的に1台のマシンにより多くの論理的な環境を構築していく仮想化の手法には、危うさも伴う。1つの障害がより多くのアプリケーションに影響を及ぼす可能性があるからだ。フロイント氏は、SunのSolarisコンテナやHewlett-PackardのIntegrity VMでは、ホストOSに障害が発生した場合にシステム全体がダウンしてしまう危険性を指摘する。

 「IBMの仮想化は、ファームウェアのハイパーバイザー上でそれぞれ別個にOSが稼働し、障害はほかに影響しない」(フロイント氏)

 さらに、現行のSystem pでは、最大254の論理区画まで分割できるほか、仮想的なSMP構成も64ウェイまで拡張性がある。フロイント氏によれば、HP Integrity VMは4プロセッサまでに限定されるという。

 「われわれのメインフレームは何十年ものあいだ、金融や製造のデータセンターを担ってきた。System pはその信頼性や拡張性を譲り受けている。多くの顧客らが、System pによってコストを抑制しつつ、使用率を高め、ハードウェアの追加なしでさらに多くの処理を行い、成功を収めている」とフロイント氏。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ