自治体経営の巧拙が問われる現在、ほかの自治体の動きは積極的に参考にすべきである。関西社会経済研究所が行った調査からは、自治体経営におけるガバナンスは東高西低の傾向が見て取れるが、その理由を考える。
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各自治体では、総合計画と予算編成の関係性を明確化し、行政評価の実施、成果主義を導入した人事システム、財政情報開示の充実などさまざまな改革努力を積み重ねている。しかし、改革の仕組みが行政経営システムとうまく連動せず、結果形式だけの改革と化し、改革の実効性が上がらないケースも少なくない。
関西社会経済研究所では、自治体経営におけるガバナンスの向上を最重要課題ととらえ、自治体に対して行った調査結果を先日発表した。この結果からは、自治体という組織運営におけるガバナンスの欠如が見て取れる。
調査は、全国の人口10万人以上の規模の都市と東京特別区の全278市区に対して実施された。「総合計画」「予算編成」「財政運営」「行政評価」「財政情報の開示」「人事システム」「監査制度」「情報公開・住民参加」「トップマネジメント」「自治基本条例」の10項目について全200質問を設定。それぞれの達成度をアンケートによる自己評価で診断してもらっている。
この10項目はPDCAサイクルの観点およびガバナンスが効果的に運営される要件として外形的要件(組織が形式的に整っているか)、内容に関する要件(実質的に効果を挙げているか)、システムの相互関係(各業務の連携・整合性)という3つの要件にまとめられ、分析が図られている。なお、回収率は66.9%。
あくまで自己評価による診断のため、ほかの自治体との比較は参考レベルにとどめるべきであり、また、近年の自治体に頻繁に起こるコンプライアンス問題、職員の不祥事、モラル違反などについては、ガバナンス以前の問題として、調査項目に織り込んでいないことは留意しておく必要がある。
まず、調査結果から示しておこう。回答団体上位20位までは次のとおり。
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関東圏の自治体が多くランクインしていることが一見して分かる。上位20位のうち、14団体が東京都および千葉県、神奈川県といった東京都に隣接した県で、そのうち、東京都は10団体(3市7区)となっている。
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