ネットとリアルが半々の“新しい近所づきあい”を提案――光が丘ウォーカー驚愕の自治体事情(1/3 ページ)

「共働きで子育てにも忙しく、近所に友人と呼べる人もいなかったから」――10周年を迎えた地域コミュニティーサイト「光が丘ウォーカー」は、木原夫妻のそんな思いから生まれた。mixiなどのSNSが全盛だが、住民が生み出した地域SNSには、「住みたい街」に向けた自治体と住民の意識の合意が見られる。

» 2006年10月19日 08時00分 公開
[中村文雄,ITmedia]

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 2006年7月、地域コミュニティーサイト「光が丘ウォーカー」の10周年記念パーティーが開催された。光が丘ウォーカーの管理者である木原充雄・実穂夫妻をはじめとする約50名の関係者がパーティーに参加し、歴史を振り返るなどして10周年を祝った。

 光が丘ウォーカーは1996年7月にスタートして以来、掲示板、ブログ、SNSなどのサービスを提供しており、子育てなどの生活相談、スポーツや趣味のサークル活動、日記掲載に利用されてきた。

 10年経過した現在、ユーザー登録者数は3427人。サイト訪問者は1日平均約5000人でページビューは12万。SNSサービスは2006年5月から開始しており、登録者数は202人、訪問者数は1日平均330人(以上、2006年10月9日現在のデータ)。これまで多くの地域コミュニティーサイトが開設されたが、光が丘ウォーカーのように10年以上活発に利用されたケースはないといっても過言ではない。

光が丘ウォーカー10周年パーティーの集合写真

オフ会で広がったコミュニケーションの輪

 光が丘は、新宿副都心から都営地下鉄大江戸線で23分と利便性の高い土地にあり、およそ12000世帯、35000人が生活する東京23区内最大のベッドタウン。光が丘に12年前に入居した木原充雄・実穂夫妻は、共働きで子育てにも忙しく、近所に友人と呼べる人もいなかったため、自宅に居ながら近所付き合いのきっかけ作りができるような交流型の地域サイトができればと10年前に光が丘ウォーカーを開設した。

 「最初の1年間はトップページに年間1万アクセス程度だったものが、2年目にはオフ会を隔月で開催し、それから多くの人が光が丘ウォーカーに参加してくれるようになりました。光が丘ウォーカーの活動はネットだけでなく、ネットとリアルが半々という感じで行われています」(木原充雄氏)

 メンテナンスを主に担当するのは妻の木原実穂氏。

 「主婦は人間関係が狭くなりがちですが、光が丘ウォーカーのおかげで多くの人と関係を築くことができました。当初は男性利用者が多かったのですが、現在では6〜7割が女性です。子どもがいる家族が多いため、掲示板で一番人気があるのは子育て会議室。夫婦で楽しみながらサイト運営をしてきたので10年間続けられたのだと思います」(木原実穂氏)

 光が丘ウォーカーのトップページは、RSSやデータベースから引用した情報によって自動的に最新情報を掲載する設定となっている。特別なインフォメーションやトピック以外はすべて自動化し、管理者の負担は当初よりかなり軽減された。ただし、多くの掲示板で構成されるコミュニティーサイトを運営する手間は並大抵ではない。禁止ワード設定を行っているが、どうしても手作業によるメンテナンスが必要になり、木原実穂氏が毎日数回チェックする。外部からのスパム的な書き込みを削除し、時には参加者同士の論争の仲裁も行わなければならない。

 光が丘ウォーカーの運営は基本的に木原夫妻を中心に行われているが、サポートするメンバーは20名を超える。掲示板のボードリーダーやサークルの部長などのスタッフが10名。オフ会などの企画に協力するイベントスタッフが11名。これらのスタッフのサポートが大きな力となって、光が丘ウォーカーは活発に利用されてきた。

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