Oracle Fusion MiddlewareもWeb2.0──次世代クライアント環境を披露Oracle OpenWorld San Francisco 2006 Report(1/2 ページ)

「Oracle OpenWorld San Francisco 2006」の2日目は、キーノートにOracle Fusion Middleware製品を統括するトーマス・クリアン上級副社長が登場し、Oracle SOA Suite 10g R3やOracle WebCenter Suiteを発表した。

» 2006年10月25日 16時29分 公開
[谷川耕一,ITmedia]

 「Fusion Middleware Day」となった「Oracle OpenWorld San Francisco 2006」の2日目は、キーノートにOracle Fusion Middleware製品を統括するトーマス・クリアン上級副社長が登場した。Fusion Middlewareは、Oracleで最も成長率の高い製品群であり、ここ5年間で3万1000件を超える顧客を獲得しているという。

成長著しいOracle Fusion Middleware製品を統括するトーマス・クリアン上級副社長

変化に強いSOAシステムを素早く構築

 クリアン氏は、先ずはサービス指向の開発環境から説明を始め、SOA(サービス指向アーキテクチャー)のトータルソリューションについてデモを交えながら紹介した。Oracleが提供するSOAの構造は、グリッドのインフラストラクチャーの上に、SOAのさまざまなツール群とフレームワーク、J2EEのアプリケーションサーバ、Webサービスの管理、SOAへのサービスのレジスト機能などが搭載される。そして、このSOAで構成されるミドルウェア全体が、グリッド化される。

 SOAシステムの構築には、従来は開発者がたくさんのコーディングを行う必要があった。それがJDeveloperのようなビジュアルな開発ツールを利用しても、エンジニアがシステムを設計し、連携させる仕組みを考え、サービス間のメッセージのやり取りについて何らかのプログラムコードを作らなければならなかったのだ。

 「これまでのSOAは、ビジネスプロセスが変化するとコードの変更が必要となり、変化への対応をいかに簡略化できるかが重要だ」(クリアン氏)

 そこでOracleでは、変化への対応を容易にするためにビジネスプロセスを共有できるよう設計し、ESB(Enterprise Service Bus)インフラの上にビジネスプロセスを追加していく方法を採用した。ESB上ではメッセージベースでのやり取りとなり、BPEL Process Managerを使ってプロセス間を連携させる。そして、BAM(Business Access Monitoring)によってSOAシステムで何が起こっているかをリアルタイムに監視し、その結果をダッシュボードでユーザーに提供する。さらに、これをB2Bへと発展させ、外部のサプライチェーンの仕組みとWebサービスで連携したり、RFIDなどの新しい技術と融合したりできる。

 コーディング作業で開発者が構築する形では、結局のところ変化には柔軟に対応できない。Oracleでは開発ツールのJDeveloperを使い、ビジネスオーナーがビジネスフロー全体像を考え、ビジネスプロセスに基づきドラッグ&ドロップの作業だけで簡単にシステムを組み上げられるという。もちろん最終的なシステムのインタフェース部分などは、開発者が介在する必要があるかもしれないが、SOAシステム全体の構成は、ビジネスオーナーがプロセスの流れをツールで構築できるのだ。

 SOA対応で標準技術を採用しているとはいえ、この方法は開発ツールやミドルウェアだけを提供するベンダーには敷居が高い。ミドルウェアとサービスとなる各種アプリケーション製品の両方を備えているOracleだからこその開発手法と言えるだろう。

SOAで使い勝手の良いユーザー環境を

 ステージでは、JDveloperを用いE-Business SuiteやPeople Soft、あるいはメインフレームなどからデータを取得するサービスを作り、ツール上でそれを可視化、サービス同士を容易に連携できる機能がデモされた。

 SOA化された受注システムを使ったデモも行われた。クライアント環境はAJAXで構築されたシンクライアントで、データをアップデートした部分の画面だけがリフレッシュされ、さらにマッシュアップでEnterprise Search機能と統合される。検索結果から値を引き継いで、ダイレクトに当該アプリケーションに移動、オーダーを確定すると自動的にESBにメッセージが発行され、E-Business Suiteなどの必要なサービスに自動的にデータが受け渡される。

 次のステップは、BAMによるSOAシステムのリアルタイムな監視だ。ダッシュボードで、SOAシステムに今何が起こっているかが監視できる。Oracleでは、さらにこれにビジネスインテリジェンス(BI)の機能を融合する。何か問題が発生したら、電子メールなどでアラートを出し、ユーザーは受け取ったアラートからダイナミックにBIによる問題分析へとナビゲートされる。

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