Oracleでアプリケーション事業を統括するウーキー上級副社長が、Oracle OpenWorldのキーノートでステージに招き上げたのは、イタリアのオートバイメーカー、Ducatiだった。
Oracle OpenWorldのキーノートステージに白煙を上げながら2台のオートバイが駆け上がった。
米国時間の10月25日、4万1000人の参加者を集めた過去最大級の「Oracle OpenWorld San Francisco 2006」は、3日目の「Application Day」を迎えた。Oracleでアプリケーション事業を統括するジョン・ウーキー上級副社長が、彼のキーノートでステージに招き上げたのは、年間3万4000台のオートバイを製造するイタリアのDucatiだった。
Ducatiは、ニッチ市場にフォーカスし、愛好家らの人気に支えられている。しかし、同社の経営を支えるのは意外なことに、日本の製造業が得意とする「ジャストインタイム」や「カイゼン」であり、リーンな(lean:無駄のない)会社づくりを目指す理念だという。
「成功の秘訣は、無駄を省き、付加価値を高めること。これは会社の規模には関係ない」と話すのは、Ducati Consultingのジョバンニ・コンティーノCEO。同社は、Ducatiがリーンな会社づくりの経験を生かすべく、スピンオフさせたコンサルティング企業だ。
「Ducatiは、減量経営に確信を抱いており、それに最も適していたのがOracle E-Business Suiteだった」とコンティーノ氏。同社はE-Business Suiteによってサプライチェーンの統合を図り、製造に要する時間を25%短縮、製品の品質は70%改善できたという。
この日、Oracleは、Oracle OpenWorldでE-Business Suiteの新バージョンとして開発が進められているRelease 12をプレビューしている。
PeopleSoftやSiebelといった業界ナンバーワンのアプリケーションベンダーを相次いで買収したOracleは、「Applications Unlimited」を掲げ、既存製品の継続的な開発とサポートを顧客らに約束している。
ウーキー氏は、「ベンダーの都合ではなく、顧客の意思決定に基づいて、いつでも好きなときに、将来のFusion Applicationsに移行できる。これが今日の最も重要なメッセージだ」と話し、Oracleの顧客志向を強調する。
こうしたApplications Unlimitedプログラムの下、Oracle E-Business Suiteは新しいRelease 12において、幾つかの特色を見せている。
完全に統合されたパッケージとして開発が重ねられてきたE-Business Suiteは、Ducatiの例からも分かるとおり、その狙いはバリューチェーンを効率化し、オペレーションコストを引き下げていくことだ。Release 12では、グローバルに複数の事業部門を展開する企業に競争力をもたらす新機能が追加されるという。その1つが、世界各地の顧客やサプライヤー、パートナー、そして事業部門を一元的に把握し、適切な意思決定を促す「Oracle Profitablity Manager」だ。収益性の分析・レポートを、製品やチャネル、セグメントといった切り口で行え、さらに顧客単位の掘り下げも可能になるという。
Release 12では、Webサービスリポジトリも搭載される。既にPeopleSoft Enterprise 9.0では先行してWebサービスインタフェースが提供されているが、「すべての製品ラインでWebサービス化が進んでいる」(ウーキー氏)という。
異なるアプリケーションにまたがるプロセスを統合できるよう、Oracle BPEL Process Managerとの連携をRelease 12では認証する予定だという。既にPeopleSoft Enterprise、Retail Merchandise Operations Management、JD Edwards EnterpriseOne、Siebel CRMで認証が済んでいるほか、今回のOracle OpenWorldではi-flex solutionsの金融サービス企業向けアプリケーションも認証されたことが明らかにされている。
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