システム構築がうまくいったというだけで、またそれによって業務コストが低減されただけで「ERP導入成功」とはいえない。本来の目的を見据えることで、飛躍への一歩を踏み出せる。
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大塚商会の業務アプリケーションはパッケージの「SMILEαADシリーズ」と、ERPの「SMILEie」だ。同社は、業務アプリケーション専業ベンダーではないが、スタンドアロン版からERPまで一通り揃っており、品揃えの豊富さはむしろ他のベンダーを上回る面もある。
そして、他社と違って自前の営業力も十分に備えているため、その営業展開も他社とは異なる。営業本部 業種SI部門 インダストリーシステム部 業種大手SI統括グループ グループ長の瀧場誠氏は、部署名の通り、大手顧客をターゲットにした専門のチームを率いている。
「といっても世間でいう“中堅”が大塚商会にとっての“大手”なのですが、エリア担当セールスからの情報を受けて、我々のグループから知識やスキルを持った営業スタッフをお客様のところに派遣し、そのニーズを引き出して提案していきます。ただし、SMILEieだけを売るわけではなく、SMILEαADの方が良いと思われればそちらを提案しています」
瀧場氏のチームは大塚商会の中でもトップクラスの営業スタッフだという。商品が商品だけに、“一本釣り”的な営業スタイルで、個々の客に対して深く入り込む形となる。
業務アプリケーション以外にも多彩な商材を通じて多くの顧客と接している大塚商会。中小規模の顧客に対する営業スタイルも、他とは異なった独特のアプローチを採っている。
SMILEαADを担当する大塚商会 マーケティング本部 スマイルプロモーション部 係長の藤浪修一氏は次のように言う。
「『ITのコンビニ』作戦です。中小規模企業ではIT関連の担当が1〜2人というケースも多いので、我々がワンストップの窓口となれば負担を軽減できることでしょう」
豊富な商材と頻繁な訪問で個々の客と親しくなり、「ITで何かあったら大塚商会に相談しよう」と思ってもらえる関係を作ろうとしているのだ。同社の顧客には、SMILEαADを使っていない企業がまだ相当数ある。まずは、その層がターゲットだという。
「まったく新規のお客様への飛び込み営業では、困難なばかりで成果は出ません。それよりも、当社にとっての既存客と親密なコミュニケーションをする中で、SMILEαADを買っていただけそうな見込み客を見つけていく方が確度は高いですよね。そういう理由もあって、1件1件のお客様を大事にしていきます」(藤浪氏)
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