惨めなわたし、システム管理で労災認定女性システム管理者の憂鬱(2/4 ページ)

» 2006年11月02日 08時00分 公開
[高橋美樹,ITmedia]

 ここはやはりシステム管理者がすべての作業を代行するより他ないだろうという結論に達した。もちろんユーザーのレベルアップは来期の重要課題となった。

 交換を前に、少しでも作業を効率化するために、必要アプリケーションをインストールしたマスターを作成し、各PCのHDDにコピーしてくれるメーカーサービスを利用することにした。また、それぞれの個人データ移行は、各自の席に新規PCを運びピアツーピアでデータをコピーした後、古いPCと新しいPCを入れ替えることにした。作業場所を確保して、その都度PCを運ぶよりも効率がいいからだ。撤去したPCは来期に派遣社員用として再利用する予定だ。あとは拠点内に各自の交換スケジュールを配布し、PC交換が予定されている日の数時間はPCが利用できないことを周知した。

 そして、いよいよ100台のPC交換作業は開始された。

見てはいけない女性社員の机の下

 実際に作業を開始してみると、既存PCのケーブルをはずすだけでもかなりの時間を要する作業であることが判明した。データ移行のために新旧のデスクトップPC2台を並べることは、さらに困難をきわめる作業となった。

 個人の机まわりは、各自の個性がくっきりと表れる。明らかに使わない資料が山積みで、5年前のカレンダーが足元に転がっているマネジャーや、行方不明となった社内用サンダルがモニタケーブルに引っ掛かっていた若手社員など、他人の机の下は大変なことになっていた。机まわりが綺麗な女性社員は仕事がしやすいだろう、などと油断してかかると、これが意外とそうでもない。

 きっちりと整理された机の下にはどこから持ってきたのか、仰々しいワゴンまで置かれ、ケーブル類はその奥にがっちりとしまいこまれている。やっと見つけ出したケーブル類はまったく遊びがないように頑強に結ばれ、これまた手も入らないような狭いスペースにぎゅうぎゅうに押し込められていた。一生この机を使うならこれでも良いのだろうが・・・・・・。

 そんなさまざまな困難と脱ぎ捨てられたおじさんの靴のにおいと戦いながら、電源ケーブルを引っ張りだしたり、ケーブルのもつれをほどいたり。床をはいつくばり、髪に綿ボコリを載せて終電で帰る日々が続いた。

ついに最後の1台

 そして迎えた期末の最終日。あと3台ですべての交換が完了する。ここまでの1ヵ月半、なんと長かったことか。これでようやく泥臭い作業から解放される。PCを箱から出す作業と他人の机周りの整理で、わたしの手はすっかり荒れきっていた。

 その日のノルマも順調にこなし、とうとう記念すべきラスト1台を迎えた。いよいよこれで最後だ。今期の最重要目標が達成される瞬間は、もう目前だ。

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