惨めなわたし、システム管理で労災認定女性システム管理者の憂鬱(4/4 ページ)

» 2006年11月02日 08時00分 公開
[高橋美樹,ITmedia]
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 さあ、残りは、旧PCのモニタと本体を撤去して新規PCを設置すれば完了だ。重いCRTモニタを持ち上げ、机から床に下ろそうとしたところ、そこには積み上げられた資料が。「じゃあこっち」と反対を向けば、そこには先ほど机の下から引きずり出したPC本体がある。「ならこっち」と後ろを振り返った瞬間、「グキッ」というにぶい音が膝から聞こえた。一瞬、ふらついたがモニタを落としてなるものかと再度膝に力を込めてしまった。

 バギッ!

 さっきよりも大きな音がした。わたしはあまりの痛さにモニタを抱えたまま呼吸ができずに固まった。隣の席で報告書を作成していた営業担当者が不穏な空気に気づき、「大丈夫ですか? 」と声をかけてくれたが、無呼吸になっているわたしは応えることもできず、ただモニタを持ったまま、涙目でその担当者を見つめ返すばかりだった。

 それでもどうにかしてモニタを安定した場所に置こうと努力を続け、やっとの思いで後ろに3歩ほど下がり、ようやくモニタを下ろせた。その後、近くの椅子を引き寄せ5分ほど休憩をとると、膝に違和感はあったものの交換作業を続行し、なんとか100台目の交換作業を終了した。

 翌日病院に行ってみると、半月板損傷という診断が下され、その場でギプスを巻かれてしまった。連日の力仕事で体が弱っているところに、これで最後という心の油断があったのだろう。こうしてわたしは長い会社員生活の中で初めて労働災害認定を受けた。

 頭脳労働と思われがちなシステム管理者の仕事も実は肉体労働がつきものだ。それ以降、肉体労働に備え、栄養ドリンクを片手に作業しやすいジャンパーをはおり、マストアイテムのドライバーセットと軍手をポケットにしのばせ、スニーカーで社内を歩く。人はそんなわたしを「体育会系」と呼ぶようになったのだった。

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