2007年も「統合」を進めるF5 Networks、デュアルコアプラットフォームの投入も

F5ネットワークスは2007年第1四半期にも、デュアルコアプロセッサを複数搭載した新ハードウェアプラットフォーム「BIG-IP 8800」をリリースする計画だ。

» 2006年11月14日 20時04分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 F5ネットワークスは2007年第1四半期にも、2個のデュアルコアプロセッサを搭載した新ハードウェアプラットフォーム「BIG-IP 8800」をリリースする計画だ。11月10日に来日した米F5 Networksの製品管理およびプロダクトマーケティング担当副社長、エリック・ギーサ氏が明らかにした。

 F5 Networksでは、さまざまなデバイスからデータセンター内のアプリケーションに「必要なときに常に」「安全に」「高速に」アクセスできるような環境の実現を目指し、「アプリケーションデリバリーネットワーキング」というコンセプトを提唱。負荷分散/アクセラレーションを行う「BIG-IPシリーズ」にはじまり、SSL VPNアプライアンスの「FirePass」やWebアプリケーションファイアウォールの「ASM(Application Seculity Manager、旧TrafficShield)」、WANアクセスを高速化する「WANJet」といった製品をラインアップに追加してきた。

 2007年には、主力製品のBIG-IPシリーズを強化していく。初頭にリリース予定のBIG-IP 8800はデュアルコアプロセッサを2つ搭載し、レイヤ4処理で10Gbps、レイヤ7でも6Gbpsクラスのパフォーマンスを実現するという。さらに2007年中に、BIG-IP 8800を最大4台までクラスタ化できる新プラットフォーム「Montreal」(コード名)を投入する予定だ。この製品ではレイヤ4で30Gbps以上、レイヤ7などSSLの処理でも24Gbpsという高速な処理を実現する計画だ。いずれも、CMP(Clusterd Multi Processing)という新しいアーキテクチャをベースにしているという。

 こうした高速なハードウェアプラットフォームを開発する理由としてギーサ氏は、セキュリティやアクセラレーション、スイッチングといった各種サービスの統合が進むにつれ、プロセッサが下さねばならない意志決定の数も増加していることを挙げた。

米F5 Networksの製品管理およびプロダクトマーケティング担当副社長、エリック・ギーサ氏

 中でも「Webアプリケーションファイアウォールはプロセッサパワーを大きく消費する。ただ帯域の増加に対応するだけならば4Gbps程度で十分かもしれないが、アプリケーションファイアウォールとアクセスコントロール、SSL VPNを同時に集約しようとすると、こうしたプラットフォームが必要だ」とした。

 F5 Networksではハードウェアの高速化と並行して、一連の製品の基盤となる専用OS「TMOS」での機能統合も進めていく。すでにASMのWebアプリケーションファイアウォール機能が追加モジュールとして搭載済みだが、2007年には、旧Swan LabsのWebアクセラレーションのテクノロジを統合。さらに、FirePassで提供しているSSL VPNやWANJetのWAN高速化テクノロジも搭載していく計画だ。

 「さまざまなテクノロジをTMOS上に統合することによって、共通の管理フレームワークを提供し、同一のポリシーを適用することができる。これにより管理コストの削減が可能だ。また、1台のプラットフォーム上でアクセスにまつわるさまざまな情報を共有しながら、SSLやアクセラレーションといったサービスを提供することができる」(ギーサ氏)

 同社はさらに、さまざまなWebアプリケーションに対し、同一の方式で負荷分散や高速化を行うのではなく、各アプリケーションごとに最適化されたポリシーをパッケージ化して提供することも予定している。OracleならばOracle向けに、Microsoft ExchangeならExchange用にあらかじめ設定が施されたポリシーをともに提供することで、「セキュリティと高速なアクセス、アベイラビリティという3つの要素を、よりコスト効率の高い形で実現していく」(ギーサ氏)

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