インテル、革新の「当たり年」を締めくくるクアッドコアXeon投入

2006年、インテルは多くの革新的なプロセッサを市場に投入した。中でもXeonの飛躍は目覚ましく、まさに「当たり年」となった。特に「Woodcrest」のコードネームで開発が進められたデュアルコアXeon 5100番台は、新しいCoreマイクロアーキテクチャーに移行し、シングルコアのXeonと比較して、性能が約3倍、消費電力当たりの性能は3.5倍に達する。そして、当たり年を締めくくるのが、競合他社を出し抜く、インテルアーキテクチャーでは初となるクアッドコア、「Clovertown」の出荷だ。

» 2006年11月20日 10時00分 公開
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クアッドコア インテル® Xeon® プロセッサー5300番台のパフォーマンスとパフォーマンス per costの高さとは


 インテルは11月15日(米国時間11月14日)、4つのコアを搭載した「Intel クアッドコアXeon 5300番台」(コードネーム:Clovertown)を世界同時発表した。

 Xeon 5300番台は同社初のクアッドコアプロセッサ。省電力やデュアルコアでは競合他社の後塵を拝したインテルだが、ボリュームサーバ向けのXeon DPを中心に相次いで新しいプロセッサを投入、クアッドコア化では当初の計画を大幅に前倒しし、一気に抜き去った。競合他社のクアッドコアプロセッサ投入は2007年夏と言われており、6カ月以上のアドバンテージを確保したことになる。

インテルでマーケティング本部デジタルエンタープライズグループ統括部長を務める平野浩介氏。

 インテルでマーケティング本部デジタルエンタープライズグループ統括部長を務める平野浩介氏は、「2006年はインテルにとって当たり年だった。さらに締めくくりとして、初となるクアッドコアプロセッサのXeon 5300番台を投入する」と話している。

 インテルは今年、実に多くのプロセッサを市場に投入した。中でも、デュアルプロセッサ構成をサポートするボリュームサーバ向けのXeon DPラインでは積極的な新製品投入が目立ち、まさに「当たり年」となっている。

 モバイルプロセッサの技術を盛り込んだ低消費電力版の「Xeon LV」(コードネーム:Sossaman)を皮切りに、第2四半期にはデュアルコアXeon 5000番台(コードネーム:Dempsey)とデュアルコアXeon 5100番台を相次いで投入した。特に「Woodcrest」のコードネームで開発が進められた5100番台は、新しい「Coreマイクロアーキテクチャー」に移行し、昨年まで主流だったシングルコアのXeonと比較して、性能が約3倍、消費電力当たりの性能は3.5倍に達した。

デュアルコアXeon 5100番台が反撃ののろし

 デュアルコア化や省電力機能では、競合他社に遅れを取り、じりじりと追い上げられていたインテルが、反撃に転じたのも、この高性能と省電力機能を併せ持つ「ハイブリッド」なデュアルコアXeonだった。公表されているベンチマークを比較すると、Xeon 5100番台は、SQL Server 2005によるTPC-Cはもちろん、SAPやLotus Dominoといった業務アプリケーションで競合他社のパフォーマンスを大きく上回るほか、HPC(High Performance Computing)分野のベンチマークでも軒並み優位に立つことに成功した。

 7月にハイエンドのItanium 2でもデュアルコア版も投入、8月にはマルチプロセッササーバ向けのXeon MPラインをデュアルコアXeon 7100番台(コードネーム:Tulsa)で強化、そして、当たり年を締めくくるのが、インテルアーキテクチャーでは初となるクアッドコア、Xeon 5300番台の出荷だ。

クアッドコアで最高の性能と省電力

 Xeon 5300番台は、1つのパッケージにデュアルコア構成のダイを2つ載せることでコアを4つに増やし、性能をデュアルコアXeon 5100番台のさらに1.5倍に引き上げている。昨年まで主流だったシングルコアのXeonと比較すると、実に短期間に4.5倍まで性能向上を図ったことになる。2つのダイを組み合わせることによるクアッドコア化だが、インテルの狙いは、より迅速な市場投入だ。

 1つのダイで4コアを実現するよりも不良品の出る確率は下がるだけでなく、デュアルコアプロセッサと300ミリウェーハーおよび65ナノメートルの製造プロセスも共有できるため、コスト面でも有利に働く。実際、Xeon 5300番台の性能は1.5倍に引き上げられているが、インテルでは、価格はほぼ据え置く。

 プロセッサは一定以上にクロック周波数を高めていくと、性能の向上以上の比率で消費電力が増えてしまう。インテルは、デュアルコア化によって、クロック周波数を落として消費電力を抑えつつ、プロセッサとしての性能を上げるという手法を確立したが、これをクアッドコア化にも適用した。Xeon 5300番台では、さらにクロック周波数を落としたデュアルコア構成のダイを2つ組み合わせ、大部分の製品で消費電力もXeon 5100番台の最上位製品と同じ80ワットに抑えつつ、パッケージとしては1.5倍という高性能を叩き出すことに成功したのだ。

 「消費電力を問題から目を背け、性能さえ高めていけばいい、という時代はすでに過去のものだ。インテルでは、ボリュームゾーンのプロセッサの消費電力は80ワット程度に抑えるというデザイン思想を決めている」と平野氏。

Xeon 5300番台および5100番台のスペックおよび価格表

使い続けられるBensleyプラットフォーム

 Xeon 5100番台のソケットやチップセットがそのまま利用できるのもクアッドコアXeonの大きな特徴だ。消費電力も同じに抑えられているため、BIOSの変更などは伴うが、プロセッサを差し替えるだけで50%の性能向上が実現できるというわけだ。

 「今年、Xeon 5000番台、5100番台に合わせて投入したプラットフォームは将来を見越し、余裕を持って帯域幅とメモリ容量を拡大している。このBensleyと呼ばれるプラットフォームは、クアッドコアの5300番台はもちろん、2008年まで4世代にわたって使い続けられる息の長いものだ」(平野氏)

 システムベンダーは開発コストを節約できるほか、エンドユーザーも基本的にハードウェア構成が同じため、検証作業の負担を軽減することができるはずだ。

 40ワットや65ワットという低消費電力や高い性能密度を求めるユーザーは、引き続きデュアルコアのXeon 5100番台を選択するだろうが、ボリュームサーバは「高性能」と「低消費電力」をさらに追求するクアッドコア化が加速しそうだ。

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提供:インテル株式会社
制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2007年1月31日