SambaがNovellにMicrosoftとの提携解消を要請(2/2 ページ)

» 2006年11月22日 14時01分 公開
[Joe-'Zonker'-Brockmeier,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine
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何が問題なのか

 モグレン氏によると、NovellとMicrosoftとの間の特許の合意が問題となっているのは、それが差別的な内容であり、商用フリーソフトウェアのコミュニティーと非商用フリーソフトウェアのコミュニティーとの分断をはかる脅威になるからだという。

 「Microsoftが純粋かつ真摯にこうしたフリーソフトウェアコミュニティーの輪に加わりたいと考えているかどうかは別にして、Microsoftがあるディストリビューションにフリーソフトウェアの配布に対してロイヤリティを支払わせることに成功すると、ほかのディストリビューションもそれに倣うことになる。いや、そうしなければならなくなる。こうして首尾良くフリーソフトウェアコミュニティーの商用セクタに入り込んで非商用セクタを分離してしまえば、Microsoftは自社の特許を活用し、自らの顧客を訴える心配なしに非商用セクタにおけるソフトウェアの開発を阻止する訴訟を起こすことができる。いままでMicrosoftが特許資産を用いて不当な行為に出られなかったのは、自分たちの顧客に対して訴訟を起こしてしまうリスクがあったからだ」(モグレン氏)。

 Microsoftの狙いが、フリーソフトウェアコミュニティーとの友好関係を築いてLinuxを求める顧客の声に応えることではなく、今回の提携を利用してLinuxコミュニティーを分断することにある、という疑いが少しでも出てくれば、シアトルで行われたProfessional Association for SQL Server(PASS)カンファレンスで昨日スティーブ・バルマー氏(米MicrosoftのCEO)が述べたコメントなど気にする必要はなくなる。Linuxworld.com.auによれば、バルマー氏は次のように語ったという。「Novellは当社に相当な額を支払うことで、SUSE Linuxのユーザーは誰であれ(Microsoftからの特許侵害訴訟に際して)適切に扱われることを顧客に伝える権利を手にした。すべてのLinuxユーザーは、バランスシート上の負債(訴訟を受けるリスク)を抱えていることを基本的に知らされていないのだ、とわれわれは考えている」

 こうした問題の根源になっているのはNovellとMicrosoftとの特許協定である。一方でモグレン氏は、まだ公になっていない「今回の提携における特定のカ所」に対してもSambaチームは懸念を抱いている、と述べている。しかし、提携内容の全面開示と引き換えにNovellとの間に結んだ秘密保持契約を理由に、モグレン氏はSambaチームに影響するそのほかの提携事項について具体的に言及することを避けた。

 モグレン氏やSFLCが今回の提携に関してMicrosoftと話し合っているかどうかについても尋ねたところ、モグレン氏は、自身とMicrosoftとの協議については肯定も否定もしなかった。「具体的にこの場で言及した組織についてどのようなことを述べようと、わたしはこうした議論を急いで進めるつもりはない。ただ個人的な経験から、Microsoftがフリーコミュニティーとの直接交渉に当たって早くから自らの真意を明確にしたことは一度もなかった、ということだけは言える。ただ全体として、この事態を平和的に解決するために必要と思われるすべての意見交換はオープンに行われていること、話し合いを行うのが賢明または建設的だとわれわれが考えていた組織にはある程度アプローチできていることは、この時点で話しておくべきだろう」(モグレン氏)。

 残念ながら、Novellがこの記事に間に合うように広報担当者を立ててわれわれのインタビューに応じてくれることはなかった。しかし、Novellでマーケティングディレクターを務めているジャスティン・ステインマン氏は次のように語り、Novellが進んでMicrosoftとの提携に応じたわけではないことをほのめかしている。

 「NovellはSambaコミュニティーとオープンソースに対する彼らの貢献をこの上なく尊重している。われわれは現在、Sambaチームが表明した懸念に対する公式な回答を作成中だ。Sambaチームが基本的な要求事項として掲げていたMicrosoftとの提携解消については、当社にその意向がないことは確認できるが、それ以外の回答をまとめるのにあと2日ほど猶予をもらいたい」(ステインマン氏)。

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