顧客データベースを活用してマーケティングを成功に導くのに欠かせないという5大ポイント。その3つ目と4つ目について概説したい。
本記事の関連コンテンツは、オンライン・ムック「新時代突入の予感 使えないハコモノに終わらせるな!――データベースの『生きる道』を探る」でご覧になれます。
企業活動の中では、データは日々蓄積されている。だが、そこから吐き出される膨大なデータを価値ある情報として利用できない企業は多い。
企業が顧客情報を活用できない理由の1つは、データベースにおける基本ナレッジの欠落だといわれる。つまり、社内ユーザーの多くが情報システムに対して高いリテラシーを持っていないということ。そうした前提に立ってデータベースを最大限に活用するためには、システム導入と同時に、あるいはその導入に先立って、ユーザーにデータベースやマーケティングの基本スキルを習得させる必要がある。とすると、そのための教育システムを構築することは重要となる。
そうした社員教育の仕組みを取り入れることは企業にとって大きな負担になる。だが、富士通総研第二コンサルティング本部流通コンサルティング事業部のマネジメントコンサルタント、高橋秀綱氏は「それをコストではなく、投資と考えるべき」と訴える。
例えば、ある企業ではシステム導入に先立ち、販売現場で必要とするデータを手作業で収集し、それを基に仮説・検証を行うことにした。それを1年間繰り返し、社員にデータを活用する基本スキルを学ばせたという。ITという最新技術を最大限活用するに当たっては、そんなアナログ的な取り組みも有効になるということである。
4つ目のポイントとなるのは、「顧客情報の統合活用はグループ全体で進めること」。
今後、合併や統合が盛んになると考えられる。すると、グループ全体で顧客情報を統合したり相互利用することが活発化することになる。これまでの顧客データ統合(CDI)であれば、自社と統合先の顧客情報を名寄せして、特定の顧客の購買活動を把握するだけでよかった。しかし、これからはそれだけでは不十分だ。
合併・統合などを経験すると、企業グループ全体に異なった顧客基盤が存在することになる。そういった顧客基盤に対しては、データベースを共有し、グループ内でクロスセルを低コストに仕掛けることが有効になる。こうしたことを、ホテル事業や小売事業、旅行事業などを抱える運輸コングロマリット、銀行や保険・証券などを提供する金融コングロマリットなどが実践している。このようなことが、グループ全体の顧客情報資産を最大化するに当たって重要なポイントになると、高橋氏は指摘する(「月刊アイティセレクト」11月号のトレンドフォーカス「顧客データ活用からマーケティングを成功に導く重要5ポイント」より。ウェブ用に再編集した)。
※最後の5つ目のポイントは月曜日(27日)の記事にて
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