Office 2007にアップグレードした方がいい?

Microsoftは過去の戦略に固執し、ほとんど改善を施さないままOfficeを提供することもあれば、180度方針を変え、本当に重要なアップグレードを提供することもある。今回はどちらだろうか?

» 2006年11月28日 16時34分 公開
[Jim Rapoza,eWEEK]
eWEEK

 10カ月前のこと――ようやく、少し自由な時間ができた。この先の時間節約のために何か今やっておけることはないだろうか? そうだ! Microsoft Officeの新版が年末にリリースされるんだった。Officeには目新しい点など特にないのだから、これまでOfficeについて書いたコラムから適当に抜粋して、今のうちにコラムを用意しておこう。そうだな、ええと、「これまでのバージョンと特に変わらない」「本当に意味のある最後のアップグレードはOffice 97だった」「企業はこれまでのバージョンを使い続けた方がいい」という部分は使いまわせそうだ。これに、少し新しいことも加筆すれば、ほら、Office 2007のリリースに関するコラムの完成だ。これで、年末商戦期の買い物も早めに楽しむ時間が取れそうだ。

 そして、今日――ああ、まったく。よく言われるように、世の中、計画通りにはいかないものだね。当然といえば当然だ。Microsoftは過去の戦略に固執し、ほとんど改善を施さないままOfficeを提供することもあれば、180度方針を変え、同社のコアとなるプロダクティビティスイートにとって本当に重要なアップグレードを提供することもあるだろう。そんな場合は、企業もアップグレードを検討すべきだ。

 そして実際、Office 2007はこれまでのバージョンと比べて大幅な改善版となっている。新しいユーザーインタフェースの「リボン」や新しいファイルフォーマットといった大きな変更点から、各種の小規模だが有用な使い勝手の改善まで、Office 2007はMicrosoftにとって、ユーザーがコンテンツを作成、編集、管理する方法を大きく変える初めての試みとなっている。

 わたしとしては、Office 2007の各種βやRTMコードを使ってみた結果、アップグレードを行うつもりでいる。

 リボンについては大いに注目され、認識もされているが、これは間違いなく好き嫌いが分かれるところだろう。わたしはだいたい気に入ってるが、ときどき厄介に思うこともある。だが、レイアウトやデザイン、高度なExcel機能など、そのほかの点では、オプションが明確に提示されるのが非常に便利で、これまではこうした機能もなしにどのように作業していたのかと不思議に思えるくらいだ。

 だがリボンは、使い勝手の改善のほんの一部にすぎない。Office 2007では、小さな変更点や改善点が全体に散りばめられている。おそらく、これまで何年もの間にユーザーから寄せられた苦情や提案を集めたものなのだろう。こうした変更点や改善点は、Officeの日常的な使用をより容易で高速なものにしてくれている。

 これまでのところ、わたしが最も気に入っているのは、おそらく多くのユーザーにとっては些細な変化にすぎないような変更点だ。その変更点とは、「プレーンテキストとしてペーストする」がデフォルトとなるようにWordを設定できるようになった点だ。これは、わたしが常々、なぜそうできないのか不満に思っていた点でもある。

 これまでのコラムでも述べてきたように、IT部門の多くは大幅に刷新されたOffice新版に移行するためのトレーニングに手間が掛かるのではと懸念している。リボンやら、メニューオプションの各種の変更点やらを目にして、混乱したユーザーからの問い合わせの電話が何カ月も続くのではと心配しているのだ。

 もちろん、トレーニングの問題は生じるだろう。Office 2003のときも、トレーニングをめぐる問題が幾つか生じた。Office 2003はその前のバージョンからそれほど大きく変わっていなかったにもかかわらずだ。常識的に考えれば、トレーニングの問題はOffice 2007の方がもっと深刻になることが予想される。

 だが、わたしは必ずしもそうは思っていない。ときには、前バージョンとの違いが少ない場合の方が、かえって、新しいインタフェースのトレーニングが難しい場合もある。自分が思っているような方法でアプリケーションが機能しない場合の動揺が大きいからだ。一方、Office 2007の場合はインタフェースが大幅に変更されているため、ユーザーはこれまで通りの方法では通用しないであろうことを直ちに理解し、おそらく、より素直にトレーニングを受け入れ、新しい使い方を学ぼうとするだろう。

 さて、Office 2007についてだが、これは「絶対に必要なアップグレード」とは言えない。あなたの会社がOfficeの旧バージョンや競合スイートで問題なく機能しているのであれば、わざわざ変更することはないだろう。だが、絶対に必要なアップグレードではないにせよ、Office 2007には「アップグレードするだけの価値がある」のは確かだ。

 この先何年かして、わたしがまたOfficeについて何かコラムを書こうというときには、過去のコラムからコメントを抜粋し、1点変更を加えることになりそうだ。未来のコラムには、おそらく次のように書くことになるだろう。「本当に意味のある最後のアップグレードはOffice 2007だった」と。

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