developerWorksの歩き方 第1回

現場で使える技術を求めて日々Webサイトを巡回する技術者は多い。国内ではコアな情報を扱うサイトや雑誌が少ないが、developerWorksには多くの有益な情報が存在している。本連載では、developerWorksを徹底的に活用するためのガイドを提供します。

» 2006年12月01日 08時40分 公開
[水野宏美,ITmedia]

求められる「コア」な技術情報

 実務的なソフトウェアやハードウェア開発に携わる方や、テスター、アナリスト、アーキテクトなどといった技術的専門業務は多々ありますが、そのいずれの業務においても、必ずといっていいほど技術情報を参照するケースに遭遇します。では、そうした技術リソースが必要となった場合、皆さんはその情報源としてどういったものを挙げるでしょうか?

 Microsoft製品についての技術情報を提供する場としてMicrosoft Developer Network(MSDN)が存在するように、各ベンダーでは自社製品に関する技術情報を多くの場合自社サイト内で提供しています。プロプライエタリなソフトウェアであればそれで十分な情報が入手できるかもしれませんが、オープンスタンダードな技術を用いた開発では、それだけでは不十分です。

 特にオープンソースのソフトウェアなどの開発では、まとまった技術リソースが一カ所に存在することはまれです。比較的枯れた技術であればまだよいのですが、近い将来に業界に確立されるであろう技術、つまりは先進的な技術を用いた開発では、絶望的に情報が足りないケースが頻発しており、結果として現場の開発者はつたない英語力で海外サイトから情報を得ようとするのです。

 こういった状況ではなくとも、「日本語でまとまった情報が欲しい」という開発者の切実な思いは理解してもらえると思いますが、日本国内においては、こうした技術的に「濃い」もの、もしくは、真に優良な技術リソースを取り扱う雑誌やWebサイトというものは残念ながらそれほど多いわけではありません。

 一昔前であればいざ知らず、近年では、ブログなどが普及したことで、優良な技術コンテンツが点在しているというのが現状ではないでしょうか。雑誌についても、最近では、技術系の雑誌の休刊が相次いでおり、開発者としては深刻な状況にあると言えます。

 @ITのようにどちらかと言えば「運用」の視点からの技術情報が多く存在するサイトも存在しますが、よりプリミティブな部分、つまり、「なぜこれはこのように動作するのか」といった比較的低レイヤのプログラミング技術の部分にフォーカスしたサイトというのはあまり存在しないように思います。最近では、Binary 2.0といった言葉も登場しましたが、これは開発者からすればごく自然な流れでの登場であったように思います。

developerWorksとは何か?

 少し話がそれましたが、こう見てみると、ソフトウェア開発以前の情報収集という段階で意外に労力を割いていることが分かります。「よりコアな話を、できれば開発者視点で説明したもの」というのは無茶な注文であることは理解していますが、そんな夢のようなサイトは実は存在しています。それが、developerWorksです。日本ではなぜかあまり認知度が高くないようですが、きわめて優良な技術コンテンツを集約しています。

developerWorks

 ソフトウェアやハードウェア開発者のための優良な技術リソースを提供することを目的に、IBMが1999年に開始したdeveloperWorksは、技術者のためのスキル育成、開発リソースとして、幅広い領域を網羅しています。また、日本と台湾、中国、韓国では、それぞれの国の言語に翻訳されたdeveloperWorksサイトが公開されています。

 developerWorksは、単なるWebサイトではありません。このサイトにある情報には、異機種構成の開発環境で成功するためのオンライン/オフラインのプログラムが付随して提供されています。ありていに言えば、新興技術や業界最先端のIBM製品に関する広範なコンテンツも網羅しているわけで、Rational、Tivoli、WebSphere、Lotusといった製品の技術情報ポータルへのリンクも用意されています。

 本稿では、数回に分けてこのdeveloperWorksの紹介をしていきます。良質な情報の宝庫であるdeveloperWorksを自在に活用できるようになれば、あなたの知識やスキルは大きく向上することでしょう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ