過去の資産の継承から新たなサービスを実現する仮想化へ“過去”からの脱却――エンタープライズ・サーバー選択の新常識

ハードウェア/ソフトウェア/ソリューションベンダを問わず、企業情報システムを支えるITベンダは昨年ごろから、そろって「仮想化環境」の利用を声高に口にしている。インテル® バーチャライゼーション・テクノロジー(インテル®VT)の登場など普及を促す要素も整い始めた今、仮想化によるメリットを考える。

» 2006年12月06日 10時00分 公開
[ITmedia]
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 仮想化は、ここ1、2年で登場した新しい技術ではない。メインフレームでは、30年ほど前から多くの実績のある実証済みの技術だ。オープンシステムにおいても、すでに7、8年前から仮想化を実現するためのソフトウェアの提供が始まっている。とはいえ、ここ1、2年は、ブームとも言えるほど急激に仮想化に注目が集まっている。

 その理由の1つには、仮想化を実現するソフトウェアの技術的な進歩もあるだろう。さらに、ハードウェアの性能の向上も挙げられる。現実的に1台のマシンで複数の仮想化マシンの稼働が可能な性能を誇るサーバマシンの登場や、仮想化マシンに分割しても十分なメモリ空間を確保できるといったことも普及を促す一因であろう。

インテルの本格参入がオープンシステムの仮想化市場を拡大する

 そんな中、インテルが行ったプロセッサレベルでの仮想化のサポートが、仮想化の普及をさらに加速している。ソフトウェアだけで仮想化を実現していた状況では、仮想化マシン上の処理はすべてプロセッサの負荷になってしまう。例えば、多くのネットワークトラフィックを処理するサーバを仮想化環境に移行したとする。その際の仮想化のネットワークボードの負荷は、そのマシンに搭載されている物理的なネットワークボードの負荷になるのではなく、仮想化ネットワークボードの負荷、つまりCPUの負荷になるのだ。

 物理マシンであればそれぞれの物理的なボードなりI/Oプロセッサなりが効率良く処理していた作業を、仮想化マシンではすべてCPUが集中して担うことになる。そのため数年前の状況では、1台の物理マシンに数十の仮想化マシンを搭載しトランザクション処理を行うというような利用方法は、現実的ではなかった。結果的に、部門に分散していたファイルサーバなどの単純で負荷のあまり高くない処理を行うサーバの統合や、柔軟性の高い開発環境として仮想化マシンが利用されてきた例がほとんどだった。

 一方で、CPUの性能はマルチスレッド化、マルチコア化により、飛躍的に計算能力が向上している。この計算能力を効率良く分散させて利用することを考えると、あらためて仮想化の活用が浮上してくる。これに対するインテルの回答が、インテル® バーチャライゼーション・テクノロジー(インテル®VT)の提供だ。これは、ハードウェア・アシストによるはじめての仮想化ソリューションであり、プロセッサのレベルで仮想化をサポートするものだ。

 インテルVTにより、現状までの単純なコンソリデーションという目的から、メインフレームに匹敵するような信頼性と性能をもった将来の仮想化への応用が可能になる。仮想化のメリットといわれているダイナミック・ロードバランスや、仮想化マシンを利用した災害復旧、そしてサーバの使用効率向上の実現で、インテルVTは重要な技術になると考えられる。

 特に、メインフレームの代替を目的とした場合には、インテル® Itanium® 2 プロセッサ 9000番台でのインテルVTの搭載は意味が大きい。2008年以降には、デュアルコアからマルチコア化へとさらに進化するインテル Itanium プロセッサ ファミリでは、仮想化技術のさらなる拡張も計画されている。これにより、プロセッサの性能だけでなく、柔軟なプラットフォームの統合、集約も対応できるようになるのだ。

インテル Itanium プロセッサ ファミリ 将来へのロードマップ

ミッションクリティカルに対応するHPの仮想化技術

 もちろん、プロセッサだけが進化しても仮想化がうまく実現できるわけではない。その上で稼働する仮想化ソフトウェアの進化は重要だ。さらに、ソフトウェアそのものの性能もさることながら、ハードウェアに搭載されているリソースを仮想化ソフトウェアがいかに効率的に活用できるかがポイントとなる。インテル Itanium プロセッサ ファミリ搭載のオープン系システムをサポートする仮想化ソフトウェアとしては、HPが提供するHP-UX 11i上のVirtual Server Environment(VSE)がある。

 「企業は、ITなくしては業績を上げることはできない。業績を上げる際には、ITに対する収益率が重要となるが、初期導入のコストは25%にすぎないのに継続的にシステムを運用するためのコストが75%にも達する。つまり、運用コスト部分の最適化を図り、システムの利用率を上げられるかが鍵だ。さらにビジネスの変化への柔軟な対応、ITサービスの品質の向上、仮想化の技術でこれらの問題を解決していく」と語るのは、HP Enterprise UNIX Division Infrastructure Systems R&D Directorのロバート・ジェームス・ケネディ氏だ。

 機能ごとに物理的なサーバを用意するサイロ型のシステム構成では、個々のサーバのリソースは30%程度しか利用されず、キャパシティとコストが固定化されてしまう。HP Integrityサーバを用いて仮想化を利用し統合化すれば、ダイナミックにキャパシティを変化させることができ、リソースの利用率を大幅に向上させることができる。ダイナミックなキャパシティの変化に対し、HPではライセンスの面でも利用した分だけに課金する方法が取れるので、無駄な投資をせずに変化に対応できる。

 「サーバ、ストレージ、ネットワークといったリソースをプール化し、変化に応じダイナミック割り当てることで、システム全体の利用効率を上げコストを削減できる。柔軟なキャパシティ変化は、仮想化システムを成功させるためには重要だ。分散化したIT資産で運用するのは、管理作業面でも高コストとなる。仮想化環境を含め、さまざまなOS環境の一元管理の実現を目指す。将来的にこれを完全に自動化できれば、さらにTCOを削減できる」(ケネディ氏)

 リソースの有効活用以外にも、さまざまなメリットが仮想化によってもたらされる。インテル Itanium プロセッサ ファミリを搭載したHP IntegrityサーバとHP-UXの組み合わせは、すでにミッションクリティカル環境で数多くの実績をもっている。その上に柔軟で堅牢な仮想化環境を実現できれば、まさにメインフレームを代替できるシステム環境を実現できることになる。そのためには、仮想化によるセキュリティのメリットも大きな要素だ。金融業界のように外部からの脅威に対して高度なセキュリティ要求がある場合にも、仮想化により封じ込めが有効だという。

 「セキュリティの封じ込めについては、潜水艦の船体をイメージしてもらえばいい。潜水艦のどこかに、なんらかのトラブルが発生した場合には、船体の該当区画を隔離するためにハッチを閉じてしまえばほかへの影響は発生しない。同様にアプリケーションAの仮想環境、Bの仮想環境というように区画に分けておけば、1台のマシンに統合してもハッチの代わりにファイアウォールを置いて隔離できる」とケネディ氏は言う。

 単純に遮断して隔離するのではなく、メモリで共有するなどの方法でA、Bのアプリケーション間のコミュニケーションを可能にすれば、システムの機能として問題は発生しない。多層防御や権限ごとのアクセス制御など、仮想化を使ってさらに堅牢なシステム環境を構築できるという。

 単純なコンソリデーションを実現していた旧来の仮想化では、過去の資産を仮想化によって継承することが1つの目的だった。結果として物理的に集約し密度が上がり、スペースや消費電力の低下、管理の集中化などのメリットが享受できることになる。しかしながら、将来的な仮想化活用の目的は、過去のサービスを守るためだけではない。むしろ、仮想化によって、新たなサービスを生み出すところにある。

 インテル Itanium プロセッサ ファミリを搭載したHP Integrityサーバであれば、ハードウェアで仮想化をサポートするので、災害復旧などの新たなサービスを実現できる。ソフトウェアだけで仮想化を実現していた場合は、例えばホストOSが落ちてしまえばゲストOS含めすべてが落ちてしまうことになる。これに対し、ハードウェアで仮想化をサポートすることで、ハードウェア層のことは無視して仮想化環境が実現できる可能性がある。アプリケーション層とハードウェア層を完全に分離してしまい、性能が足りなかったりなんらかの不具合が発生したりすれば、I/Oやネットワークを含めプール化してあるところから必要なリソースをダイナミックにアプリケーションに割り当てる。

 HP Integrityサーバでこれらを自動化するために、HP-UX 11iはさらに進化を続けるという。自動化が実現されれば、管理者のインフラ管理の負担は大幅に削減され、そのぶん新たな企業の競争力となる戦略的な投資へとリソースを振り分けられる。仮想化ソフトウェアとハードウェア連携で、仮想化は新たなミッションクリティカル領域へと大きく進展することになるだろう。

HP-UX 11iのロードマップ

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制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2006年12月31日