IBM、ブレードサーバを「Virtual Loaner」プログラムの対象に

IBMは12月7日、ISVや開発者が「System I」や「System P」サーバといった同社のシステムおよび一連のソフトウェアスイートにアクセスできるよう、同プログラムを拡張すると発表した。このプログラムを利用して、「AIX」「Linux」「Power5」などのオープンソースプラットフォーム向けのアプリケーションも開発できる。

» 2006年12月08日 15時52分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 IBMが同社の「Virtual Loaner」プログラムを拡充し、ブレードサーバ製品「BladeCenter」を対象に含めようとしている。

 ニューヨーク州アーモンクに本拠を置くIBMは12月7日、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)および開発者が「System I」や「System P」サーバといったIBMの技術にアクセスできるよう、同プログラムを拡張すると発表した。このプログラムを利用して、「AIX」「Linux」「Power5」などのオープンソースプラットフォーム向けのアプリケーションも開発できる。

 IBMのBladeCenter担当国際製品マネジャーであるスコット・ティース氏によれば、IBMのビジネスパートナーは、安全性の高いWebポータルを介してダラスにある同社のデータセンター内ハードウェアにアクセスし、アプリケーションテストやデバッグ、顧客から寄せられたトラブルの再現、さらにはIBM製ハードウェアおよびオペレーティングシステム、ミドルウェアの評価などを行えるという。

 「BladeCenterサーバに対応するアプリケーションや、同サーバ上で使用するアプリケーションもしくは関連するアプリケーションを設計している開発者は非常に多く、ハードウェアに対する要求を満たすことが難しくなっている。Virtual Loanerプログラムは、物理的なハードウェアを提供することなく、そうした開発者らと連携するためのものだ。開発者およびパートナーは、同プログラムを利用して、システムおよび一連のソフトウェアスイートにアクセスできる」(ティース氏)

 そのほかのx86系サーバに関しては、IBMは2006年末までパートナーにアクセスを提供する方針だ。

 開発者は拡張プログラムの始動後、AMDの「Opteron」プロセッサを搭載したデュアルソケット仕様の「BladeCenter LS20」ブレードと、Intelの「Xeon」プロセッサを積む「HS20」デュアルソケットブレードを利用できることになる。いずれは、IBM独自の「PowerPC」プロセッサを使った「JS20」ブレードサーバシリーズも加えるつもりだと、ティース氏は説明した。

 IDCおよびGartnerが先ごろ実施した調査によると、2006年第3四半期のサーバ市場は全体的に成長を見せており、その主な原動力となったのがブレードサーバであるという。IDCは同じ調査報告書の中に、IBMはブレードサーバの売り上げ額でHewlett-Packardを上回り、マーケットシェアはおよそ43%に達したと記している。

 こうした調査結果や、IT部門内におけるブレードサーバへの認知度の全般的な上昇を考慮するに、Virtual Loanerプログラムの対象にBladeCenterプラットフォームを含めることはきわめて理性的な判断だと、ティース氏は述べた。

 IBMは9月20日に顧客向けの報奨金制度を発表するなど、ブレードサーバ分野でHPやDellを追い上げようとしていることを表面に押し出している。

 Virtual Loanerプログラムに加え、同社は2004年から、やはり開発者やISVに向けたプログラムである「Innovation Center for Hardware」を開発してきた。

 IBMは、およそ6万社のISVを含む10万社に上るビジネスパートナーがいると主張している。さらに、BladeCenterハードウェアのソリューションを連携して開発するベンダー組織「Blade.org」にも、80社のパートナーが参加しているという。2006年には、500社のパートナーが、Virtual Loanerプログラムを利用してIBMの機器にアクセスしたいと申し出ている。

 ティース氏は、新たなプログラムはIBMのパートナーばかりでなく、特に小売業者向けの古くからあるチャネルプログラムにも恩恵をもたらすと言う。

 「例えば顧客のプログラムに何らかの問題が生じ、同じ設定が適用できなくなったとしても、Virtual Loanerのプールにアクセスし、複製を起動させて、そこからトラブルシューティングが行える」(ティース氏)

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