米Avayaが語る、10年前と今の「統合」の違い

米Avayaのユニファイドコミュニケーション部門のバイスプレジデント、アイリーン・ラデン氏が来日。同社のユニファイドコミュニケーションに関する戦略を語った。

» 2006年12月11日 20時10分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 「10年前と今とでは、『統合(Convergence)』が意味するものは大きく異なる。当時は、ただNotesやOutlookからボイスメールへアクセスするだけの構想だったのに対し、IPテレフォニーによって電話とアプリケーションを統合することにより、現在はずっとリアルタイム性が加わっている」――先日来日した米Avayaのユニファイドコミュニケーション部門のバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャー、アイリーン・ラデン氏はこのように語った。

 「例えば、インスタントメッセンジャー(IM)を見て相手がログインしていることが分かれば、クリックしてすぐに電話をかけることができる」(ラデン氏)。同様に、動画の統合やモバイル/携帯電話の普及も、10年前と今との大きな違いだという。

1978年頃は出張のときに夫から「テレビ電話があればいいのに」と寂しがられたというラデン氏。今や、息子が友達とテレビ会議をするのが当たり前の世界になっているという

 米Avayaでは11月1日付で新たにユニファイドコミュニケーション部門を設立した。「コンタクトセンター」や「ビジネスプロセスを可能にするコミュニケーション」とともに、この分野に注力していく方針を明らかにしたばかりだ。

 音声とデータに加え、メッセージングやテレビ会議、モバイルといった要素を統合し、いつでも、どこでも、どんなデバイスを使っていてもアクセスできるコミュニケーション手段を提供することがその目標である。特に「企業にとっては、従業員の生産性向上と事業継続、コスト削減、顧客満足度の向上とそれによる収入の増加などが、ユニファイドコミュニケーションのドライバになっている」と同氏は述べた。

 Avayaではこうしたニーズを踏まえ、主に3通りの顧客モデルを描き、それぞれに向けて4種類のスイート製品を開発、提供していく計画だ。

 1つめは、IPテレフォニーとボイスメール、基本的な会議機能などを提供する「Essential Edition」。ユーザーの主流派には、クライアントPCや携帯電話向けのコミュニケーションツールも含んだ「Standard Edition」を提供する。また、ユニファイドコミュニケーションを通じて戦略的に自社の差別化を図ろうと考える顧客には、大規模なネットワークでのビデオ会議やアプリケーション共有などを実現する「Advanced Edition」、高解像度なビデオ会議や音声認識といった機能も組み入れた「Professional Edition」を用意する。

 いずれも、2007年前半から提供が開始される予定だ(ただしAdvanced Edition、Professional Editionについては、日本市場向けのリリース時期は未定となっている)。Avayaでは、IBMをはじめとするシステムインテグレーターやISVなど、全世界のパートナーとともに、コンサルティングやインテグレーションを組み合わせて提供していく方針という。

 さらに、Traverse Networksの買収により、携帯電話をオフィスの内線電話として使えるソリューションも提供していく。これにより「オフィス宛ての電話をIP-PBXを経由してそのまま携帯電話に転送するといった具合に、よりシームレスなコミュニケーションが可能になる」(ラデン氏)

 また、電話や会議の管理、ボイスメッセージや通話履歴の確認、検索といった機能をWebベースで提供する「Avaya OneX Portal」も「事業継続の観点から興味を持っている企業が多い」(同氏)という。さらに2007年2月には、IBMやAdobe Systemsに加え、Microsoftのコミュニケーションツール「Office Communicator」と連動する機能を提供する予定だ。ほかにも、2007年前半以降、「コンバージェンスの次の波を起こす」(同氏)製品を投入していく計画という。

 ユニファイドコミュニケーションに関して、「いつでも、どこでも、何を使っていても」という同様のビジョンを描いている企業はほかにも多い。これに対しAvayaでは、まずMicrosoftやIBM Lotusといったベンダーと手を組み、クライアントに近いコミュニケーションツールとの統合を強めることで差別化を図るという。「既存のインフラを活用し、投資を無駄にしないという意味で、マルチベンダーのアプローチは必須だ」とラデン氏。

 さらに、「インテリジェント・コミュニケーション」という戦略もポイントの1つだと同氏は述べた。

 「SOAとSIPをサポートし、ほかのさまざまなアプリケーションやソリューションにアクセスしていくことができる。SOAを活用することで、アプリケーションとの統合が今までよりも速やかに、簡単に、低コストで実現できる」(同氏)。しかも「ただ宣言するだけでなく、実際に提供しているのはわれわれだけ」とラデン氏は付け加えている。

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