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» 2006年12月22日 08時00分 UPDATE

次世代ITを支える日本の「研究室」:進化するケータイ ICタグから顧客の要求を推定する技術 (2/3)

[岡崎勝己(ロビンソン),ITmedia]

 こうして収集された履歴情報を後者が活用するわけだが、その機能の肝といえるのが、同社の研究所が数年前から研究を進めてきた「顧客行動推定プログラム」である。その仕組みを端的に言えば、事前に「顧客の行動」を「位置情報の履歴」とひも付けしてデータベースに格納しておき、位置情報の履歴を入手した際に、データベースと付け合わせることで顧客の行動を特定するというものだ。

画像 NTTドコモ研究開発本部サービス&ソリューション開発部サービスマネジメント担当課長の町田基宏氏

 例えば、事前に「異なるRFIDタグの情報を短期間に入手する」という位置情報の履歴に対して「品物を探している」行動と設定しておいた場合には、同様のパターンの顧客は「品物を探している顧客」だと判断される。

図1 RFIDで顧客の行き先を履歴情報として把握し、履歴を基に次の行動を分析。顧客が必要としている情報をタイムリーに提供することで顧客満足の向上を目指す

 このプログラムにより履歴情報を処理することで、「店内を歩き回っている」「長時間、休憩していない」などといった顧客の行動の仮説を導き出す。そして、この仮説に基づいて「どの売り場に行くか決めていない」「疲れている」という顧客の要求を推定し、それらの要求に最適と考えられる広告情報などを配信するのである。

 同システムを利用することで、例えば顧客が複数の靴屋へ来店したことが判明すれば、まだ訪問していない別の靴屋への来店を促すメッセージを流すことが可能になる。また、複数のフロアを長時間移動していることが判明した場合には、喫茶店情報やクーポンを配信することでレストランやカフェに誘導する確率を高めることができるのだ。

図2 システムの活用例

RFIDならでは課題にリーダの使い方で対処

 同様のシステムは、すでに他社でも開発が進められている。ただし、それらと大きく異なるのが、RFIDタグリーダの使い方だ。

 多くの場合、RFIDタグリーダは店舗内に設置され、それらに顧客が持ち歩くICタグを読み取らせることで顧客の場所を特定する方式が採られている。これに対してNTTドコモが採用した方式は、専用の試験機を開発してRFIDタグリーダを持ち歩くというもの。この手法を採用した理由について、NTTドコモ サービス&ソリューション開発部サービス開発推進担当課長の堀口賞一氏は、次のように説明する。

画像 NTTドコモ サービス&ソリューション開発部サービス開発推進担当課長の堀口賞一氏

 「ICタグを持ち歩く方式では、知らない間にICタグ情報が読み取られる可能性がある。これに対して、携帯電話をRFIDタグリーダーとして用いると、電源を切ることで顧客は自分がどのように店内を歩いてきたのかを知られないようにすることもできる。この方式であれば、さまざまな顧客の考え方に柔軟に対応することができる」

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