管理部門スタッフの挑戦――「社風」まで変えたシステム改革アイティセレクト特選事例 東洋鋼鈑株式会社(1/3 ページ)

激しい環境変化の中で、最大限のパフォーマンスを要求される社内システム。創業70年余の歴史を持つ東洋鋼鈑では、バラバラに構築され運用されてきた、給与システム、人事システムを刷新した。「システム統合」「業務の標準化」など言うは易く行うは難しの取り組みを取材した。

» 2006年12月26日 09時00分 公開
[アイティセレクト編集部]

効果測定

300種類以上あった帳票を80%廃止


導入前の課題

旧システムでは制度改正などへの対応が困難になっており、人事情報が紙ベースで管理された状態で、業務の標準化がされていなかった。また連結会計への対応が必要となり、グループ全体のシステム刷新が急務となった。


導入後の効果

自社開発でシステム更新を進めていたが、グループ全体のシステム刷新の必要性から、パッケージソフトを導入。Webベース(メタフレーム)での入力が可能になり、現場での運用が容易に。業務の見直しも進んだ。またシステムの修正が容易になり、変化への対応も迅速になった。


 東洋鋼鈑は1934年の創業。ブリキメーカーとしてスタートし、以来鉄を中心とした新しい素材の開発に挑戦してきた。山口県下松市を拠点にグループ8社、社員2800人を擁する。

 最近ではジュースや缶詰などの缶用材料だけでなく、新しい分野での展開を進め、磁気ディスク用アルミ基板、電池用ニッケルメッキ鋼板、ブラウン管用シャドウマスク材などは世界市場で高いシェアを誇っている。

人事情報は紙ベースで管理

 長い歴史を持つ企業、特に生産部門を持つ会社で頻繁に見受けられることだが、東洋鋼鈑でも給与システムが老朽化し、本社はBASIC、工場はCOBOLというように事業所ごとに管理され統合できない状態が続いていた。また、人事情報管理がシステム化されておらず、紙ベースでデータを管理していて、必要な時に必要な情報を取り出すのが非常に困難になっていた。

 これらのシステムは導入後30年近く経過しており、社内の制度変更や所得税、社会保険改正への対応が難しくなっていて、海外勤務者、パート、派遣社員などの新しい雇用形態にも対応しづらくなっていた。

 集計にも時間がかかり、担当者が操作を覚えるのも大変なシステムを一新しようという課題は88年頃から検討されていたが、98年までは具体的なアクションは起こされなかった。

 同社、給与センター長の鈴木誠氏は次のように語る。「98年くらいまでは幾度となく給与システム統合の話は持ち上がってはいましたが、実際には進展がない状態でした。それまで長年、事業所ごとに別々の運用を行っていましたので、本社と工場の実務の相違点を把握するだけでも膨大な時間が必要で、業者さんの力を借りようとしても、実務の全体像を説明できる人間がいなかった。それに、オープン系のシステムや社外のパッケージを導入して成功した例が社内にほとんど無かった。そこで自社開発でやろうという流れになっていったのです」

 鈴木氏が説明するように98年から、自社開発で新しい人事、給与システムを構築する作業が進められることになった。

東洋鋼鈑 給与センター長 鈴木誠氏
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