こうした中で、「見えるブログ検索」(関連記事)や、ポッドキャスティング、ビデオポッドキャスティングなど、より負荷がかかるが、ユーザーの関心が高いシステムが導入されてきたのも2006年の注目点だった。
また、ケータイからの利用増化に伴い、サービス各社の対応が急がれた年でもあった。ブログユーザーの増加に、ケータイユーザーの増加という背景があるのは間違いない。そこで、ただブログを投稿できるだけでなく、あらゆることをケータイからできるようになってきている。この動きは、2007年もさらに進んでいくはずだ。
スパムとのイタチごっこも相変わらずだ。確かに、一時期と比べると、各ブログサービスの尽力によってか、コメントスパム、トラックバックスパムを目にすることは減ったように思える。だが、完全に駆逐されたわけではなく、新しい記事を投稿するたびに、トラックバックスパム攻撃に見舞われることがある。
それも英文ではない。日本語である。エログ系もあるが、最近増えているのは「アフィリエイト系」とでもいうべきスパム行為だ。このスパム行為は以前から存在していたが、最近は特に増えているように思える。
例えば、ある出来事についてブログ記事を投稿する。すると、すぐに送信されてくるのは、記事で書いたものに関する商品紹介のトラックバック、もしくはWebサイトからのトラックバックなのだ。しかし、その商品に関して何らかのコメントなりがあればよい方であり、ほとんどはアフィリエイトリンクのみ、もしくはAmazon.co.jpなどの商品紹介をコピペしただけの投稿記事となっている。
もちろん、自分のブログへの言及があるわけがない。そういえば、私がある映画について記事を書いたところ、その俳優と名字とまったく同じ名前のカバンのトラックバックが届いたのは怒りを通りこしてあきれ果てたものだ。
このほか、古い投稿記事へのトラックバックスパムなど、これまで見られなかったタイプのスパムも登場し始めたのも2006年の傾向だといえる。
また、コメントスパムを排除する方法として、画像を表示させて、そのランダム表示の英数字によるコメント投稿の仕組みが幾つかブログサービスで採用されている(画像認証として「Captcha」がメジャー)。これ自体はある程度の効果を上げているようだが、問題がないという万能なものでもない。その理由は、色覚異常などを持つユーザーの場合、画像に表示された文字がうまく読み取れないケースがあるのだ。
海外スパムに関しては、半角英数字のみを拒否することで対応しているサービスが多いが、逆に海外のユーザーとのコンタクトが取れなくなるという欠点もあり、世界に発信しているブログとしてはどうなのだろうか? との意見もある。しかし、日記中心のブログであれば、リスク回避としては適当なのだろうか。
これらスパム行為を完全に駆逐することはブログシステムの仕様上難しいかもしれない。しかし、すでに幾つかのサービスで実績を上げているものもある。2007年こそは、スパムに悩まされることのない日々を送りたいものだ。
mixiが躍進したのも、2006年のトピックとして挙げるべきものだろう。mixiはSNSだが、マスコミなどで取り上げられる時、ブログと同等に扱われることがある。さらに株式上場したことにより、一般の認知度はグンと上がった。
ことに2006年は、事件の当事者がブログに書いた記事が一つの証拠として取り上げられるケースが多かった。殺人事件の被害者が書いた日記、ある番組に出演した人が書いた日記、そして――国会議員が書いた日記などだ。それらを取り上げる時、マスコミは決まって、「インターネット上の日記(ブログ)」という紹介をする。しかも、その中には明らかにmixiの日記機能を使ったものもあった。要するに、マスコミ(一般的な見解)からすればSNSもブログも同じなのだ。そして、ブログ=日記という認識なのだ、ということになる。
SNSは、言わば閉じられたコミュニティ(関連記事)。対してブログは、開かれたものだ。しかし、ここで一つの共通項がある。それは、SNSは紹介者や友達とのつながりを楽しめるが、ブログでもコメントやトラックバックによって、ほかのユーザーとつながれる点だ。事実、2006年は、このつながりをキーワードにしたサービスもブログの周辺で生まれている。Amebaブログが提供したスクラップブックであったり(関連記事)、ブログとネットラジオが融合した「らじろぐ」であったり、ウェブリブログのSNS機能強化実装(関連記事)など、が挙げられよう。
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