大胆予測! 2007年IT業界「さもありなん」の10大ニュースアイティセレクト編集部が占う「記者座談会」(1/2 ページ)

IT需要が盛り上がった2006年。果たして2007年のIT業界にはどんなニュースが待ち受けているのか。アイティセレクト編集部が独断と偏見で大胆予測した「2007年“さもありなん”10大ニュース」。はてさて、どれだけ的中しますやら……。

» 2006年12月28日 07時00分 公開
[アイティセレクト編集部,ITmedia]

2007年は業界再編の年に

デスク 毎年、年末になるとメディアはどこも「今年の10大ニュース」を紹介しているが、アイティセレクト誌では毎度お騒がせの「覆面記者座談会」で創刊以来、あえて「新年の10大ニュース」を予測してきた。実際にそうなるかは別として、新年のIT業界を占う意味ではそれなりの役目を果たしてきたつもりだ。

 座談会企画は2006年半ばで終了したけど、「独特の視点で予測する10大ニュースだけはぜひ続けてほしい」との読者のご要望にお応えし、オンライン版で今一度復活させることにした。読者の皆さんには「あくまで予測」ということを重ねて申し上げておくとして、さあ記者諸君、存分に占ってくれたまえ。

記者A では口火を切って。2007年のIT業界では、これまでくすぶり続けてきたSI・ソフトベンダーの再編が本格的に巻き起こるような気がする。その根拠は、受注拡大に沸くSI・ソフト業界にとって、いま最も頭が痛いのは技術者不足なので、即戦力になるならM&A(企業の合併・買収)を行ってでもパワーを増強したいと考えているベンダーが多いこと。どこの経営陣も「今が攻めどき。遅れをとるな」という心境のようだ。

記者B それとSI・ソフト業界で再編がくすぶり続けてきた背景には、これまで長年にわたって形成されてきた多段階下請け構造、つまりゼネコン体質から脱却しないと、この業界は先細ってしまうとの危機感がある。いつまでも下請けにとどまっていては“薄利多忙”に陥るだけ。

 業界が好況な今こそ、技術者不足を補うと同時に、ユーザー企業から直接仕事を請け負うメインコントラクターとしての立場を確保したいと考えるベンダーが増えてきた。そのためには、それなりの企業規模と盤石な経営基盤がないと通用しないということで、いま水面下ではM&Aを巡るさまざまな交渉が行われているようだ。

記者C すでにそれぞれの企業グループ内では、そうした統合・再編が行われているよね。2007年はその枠を超えて、他の業界にみられるような大がかりなM&Aが起こる可能性は十分にある。とくに独立系やユーザー系のSI・ソフト会社の動きに注目したい。

デスク 技術者といってもとくに足りないのはSEだな。よし、「SI・ソフト業界 大再編へ」と「SE不足がますます深刻に」をまずエントリーしよう。

転機が訪れるか? SNSブーム

記者B あとIT市場で最近注目されている動きからピックアップすると、僕はみんな伸びる、伸びると言っているSNSが踊り場状態になって、一度淘汰される時期が来るんじゃないかと思う。米国では2006年夏以降、利用者数の増加が鈍化しているようだし。大きくなるにつれ、会員制を逆手にとったなりすましや勧誘、一部では犯罪行為も起きるなど利用者に不安感が広がっているのがその理由のようだが、コミュニティというのは大きくなればいろんな社会問題が起きるのは当然だ。

 その意味で今は少し期待が高まりすぎてオーバーヒート気味に思えてならない。2007年はその揺り戻しが来て一度熱が冷め、SNSの本質をあらためて考える時期になるのではないか。もちろんSNSは、中長期的にはさらに発展すると思うが、2007年はそうした淘汰を経て本物だけが残る分岐点になるんじゃないか。

記者A では僕も市場で注目されている動きから3つあげておこう。1つ目は、2008年度から施行される日本版SOX法への対応でIT業界にも駆け込み需要が殺到すると。これは予測しやすい動きだけど、むしろ心配なのは今の受注でオーバーフロー気味になっているIT業界が、果たして対応しきれるのかどうかだ。このまま行けば2007年後半から間に合いそうにないユーザー企業との間で混乱が起きるかもしれない。

 2つ目は、電力線通信(PLC)が意外に早く普及するんじゃないかと。電源コンセントに差し込むだけで高速インターネットが利用できるとあって注目されているPLCだが、これまではノイズなどの問題もあって、普及はもう少し先になるとみられていた。だが、ここにきてNTTをはじめ電機大手もPLC事業を積極的に展開しようという動きが出てきた。家庭の新しい通信手段としては意外に急テンポで広がるような気がする。

 3つ目は、ネット証券業界の再編。この1年、新規口座開設数が減少してきた中で、ネット専業証券大手の間では生き残りをかけた戦いがますます加熱している。すでにM&Aを巡る噂も飛び交っており、業界再編へと発展する可能性は大いにあるんじゃないか。

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