「われわれがUTM市場を作ったという自負がある」――フォーティネット岡本社長(2/2 ページ)

» 2007年01月05日 08時00分 公開
[聞き手:堀見誠司,ITmedia]
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UTMはサービスビジネスに適したツール

ITmedia 今後ハイエンド市場にフォーカスしていくというお話でしたが、大企業ではUTMに対する要件が中堅企業とは異なってくるのではないでしょうか。

岡本 金融機関など一部の企業を除いては、大規模な企業でもセキュリティ対策が不十分なところはまだ多いと思います。そうした企業はUTMの複合機能を必要としている。まずファイアウォールやアンチウイルスとして安価に導入し、さらにVPNやアンチスパムという具合に使う機能を増やしていくケースもあります。運用とコストは大企業でも大きなテーマですから。

 また、製品もさることながら、誰がソリューションを提供するかも大事です。大手企業は取引先のITベンダーが決まっていることが多く、いくら製品が良くてもそこがソリューションとして売ってくれないと意味がない。大企業のチャンネルを持つところにフォーティネット製品を扱ってもらえるよう環境作りをしていくことが、われわれのミッションです。つまり、大企業やキャリア、ISPのマーケットに強いSIerとアライアンスを組む活動を強化していきたいと考えています。

 大企業やキャリアでも、データセンターはハイエンド、支店ではローエンドの製品を必要としています。1つのアーキテクチャー(FortiOS)でローエンドからハイエンドまでカバーでき、技術スキルが蓄えやすいフォーティネット製品の良さを伝えていきます。

 それから、保守サービスの成約率が導入企業の75%と、非常に高いのが特徴です。フォーティネットの売り上げの45%以上はサービス収入によるもので、2007年は50%を超えるでしょう。最初はUTMをファイアウォールとして導入して、サービスの中で後からWebフィルタリング、アンチウイルスというように機能を段階的に追加していける。SIerにとって、売れば売るほど収入がストックされていくサービスビジネスを立ち上げるには、われわれのUTMはいいツールとなります。

NGNへの対応も視野に

岡本 92年当時は端末のインストールベースで一番のプロトコルはSNAでしたが、TCPがそれを置き換え、今は音声を取り込もうとしている。NGNでボイスアプリケーションの利用が進むと、SIP(Session Initiation Protocol)ベースのセキュリティ対策が必要になってきます。現在、IP電話など音声の市場をわれわれの市場として取り込むよう努力しているところです。市場が広がればわれわれの技術も広がるわけです。

ITmedia 今後のパートナー施策、教育についてのプランはありますか。

岡本 販売体制として、認定資格を持った販売代理店8社の下に「リセラー」がありますが、リセラーを対象としたトレーニングを進めています。とにかくフォーティネットの資格を持った技術者を増やすことが先決なので、リセラーとの関係を強化していくことを考えています。

 具体的には、現在は代理店を通してリセラーを支援していますが、トレーニングやサポートの面で直接支援が可能なリセラープログラムを検討しているところです。大企業のミッションクリティカルなネットワークではサポートが大切ですが、代理店を介していては対応が遅くなりがちです。そこで、直接リセラーを支援するメカニズムが必要だと思ったのです。そのためのスタッフ増員なども考慮しています。

ITmedia フォーティネットジャパンのトップとして、どこに醍醐味を感じますか?

岡本 やはり「UTM=フォーティネット」のイメージは強く、われわれが国内でUTMの市場を広めたという自負があります。顧客からUTMのことを直接聞かれたりするとうれしいですね。

 加えて、有数のキャリアが参加するNGNには大変期待しています。NGN向けには、専門にハイエンド製品の開発やマーケット開発を行う部門を立ち上げており、FortiOSのキャリア対応版を搭載する製品をリリース予定です。通信事業者が特に必要とする音声関係のセキュリティ機能を搭載しました。

ITmedia 近年のセキュリティを狙う攻撃は隠密化、金銭目当てになるなど、以前よりも巧妙になっています。こうした脅威の変化にどのように対応していきますか。

岡本 先ほど話したように、まず対応のスピードアップです。そして、脅威は100%防げるわけではなく、被害に遭ったときの影響をいかに抑えるかが大切です。この点では、ウイルスに感染していたり脆弱性のある端末を自動的に検知してVLANに隔離する検疫機能とスイッチング機能を装備した、内部利用を前提としたUTMのリリースを予定しています。



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