WAN最適化で本社と支社の格差是正を――シスコがISRシリーズ強化

シスコシステムズは、企業の支店/支社向けの統合型ルータ「Cisco ISR」シリーズを強化し、WAN最適化や閉域網向けVPNといった機能を追加した。

» 2007年01月17日 10時41分 公開
[ITmedia]

 シスコシステムズは1月16日、企業の支店/支社向けの統合型ルータ「Cisco ISR」シリーズの機能を拡充した。これまで本社と支社の間に存在した、回線やセキュリティ、WAN最適化といった面での「差」を埋め、支社側でも同等のサービスを享受できる環境作りを狙う。

 Cisco ISRシリーズは、ルータとしての機能に加え、VPNをはじめとするセキュリティやIPテレフォニーといった機能を統合した製品だ。モジュールの追加によって、段階的に機能を拡張できる点が特徴となっている。複数のアプライアンスを組み合わせる場合に比べ、相互運用性の検証に要する負担を省くことができ、障害時の切り分けなども容易になる点がメリットだ。

 今回の機能強化では、ISR 2800/3800シリーズ用のサービスエンジンを強化し、従来に比べ最大で2.5倍のパフォーマンスを実現した。同時に基盤のOSとしてLinuxを採用し、モジュールの追加をより柔軟に行えるようにしたという。

 また、WAN最適化モジュール「Wide Area Application Acceleration Services(WAAS)モジュール」が追加された。同社のWAN最適化アプライアンス「Wide-Area Application Engine」(WAE)の機能を統合するものだ。

 このモジュールでは、CIFSなどのいわゆるファイル共有プロトコルだけでなく、動画やERP、CRMといったほかのアプリケーションについても最適化、高速化を実現する。独自のトンネルなどを用いず、ネットワークに対し透過的に利用できるため、従来通りQoSやセキュリティを適用できる点もメリットという。価格は50万8000円から。

 独自のVPNテクノロジ「Group-Encrypted Transport(GET)VPN」も追加された。これは、MPLS VPNや広域イーサネットのような閉じたネットワークにおける暗号化のテクノロジで、オリジナルのIPヘッダーの情報を書き換えることなく暗号化されたパケットをやり取りする。このため、ネットワークの設計や変更を柔軟に行えるほか、マルチキャストの適用が容易になる。Cisco IOS 12.4(11)T Advanced Securityイメージ以降で利用可能だ。

 ほかに、本社/大規模拠点向けのレイヤ3スイッチ「Cisco Catalyst 6500」と同等のネットワーク解析機能を提供する「Network Analysis Module」やイーサネットポートなどを追加するサービスモジュールなども追加された。

 「例えば、フランチャイズ加盟店の間でも環境にばらつきがある。トレーニング用の映像を配信しようとしても、中には回線が細くてそれができず、いったんデータをDVDに焼いて、媒体を送らなければならない場合もあった。Cisco ISRを通じて、本社と支社/拠点間のいろんな差をなくしていきたい」(同社エンタープライズビジネス開発部長の米原明史氏)

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