Amarokを使った快適ミュージック管理Bye-Bye iTunes(3/3 ページ)

» 2007年01月29日 16時27分 公開
[Joe-'Zonker'-Brockmeier,Open Tech Press]
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ストリーミングおよびポッドキャストの管理

 Amarokは、標準的なMP3およびOgg形式のストリーミングにも対応している。各種ジャンルのラジオストリームがデフォルトで登録されているが、登録内容はAmarokのPlaylistsブラウザで確認できる。ユーザーが好みのラジオストリームを追加したければ、Playlistsブラウザの Radio Streamsフォルダを右クリックするかペイン上部にあるAddボタンをクリックしてストリーミングの配信URLを登録すればいい。

 Amarokはポッドキャストの管理をすることもできる。新規にポッドキャストを受信するには、PlaylistsブラウザのPodcastsフォルダを右クリックするかAddボタンをクリックしてPodcastを選択し、購読に必要な情報を入力すればいい。

 登録したポッドキャストを直接ダウンロードするには、該当するポッドキャストのエントリを右クリックしてConfigureを選択する。デフォルト設定のAmarokでは、ユーザーが指示した場合のみポッドキャストがダウンロードされるようになっているが、こうした挙動はDownloadを選択することで変更できる。またAmarokのメディア転送キューへの追加登録をすることもできるが、その場合はメディアデバイス側にポッドキャストの新規データを記憶するだけの空き容量が必要となる。ディスクの空き容量が限られている、あるいは聴き終わったポッドキャストを残しておく必要はないという場合は、保存されるポッドキャスト数の上限を指定することもできる。デフォルトの設定では、こうした上限値は制限されていない。

メディアプレーヤ用のデータ管理

 AmarokにはMP3/オーディオプレーヤの楽曲データ管理機能も装備されており、プレーヤ側から音楽ファイルを取り出すこともできる。わたしの場合はAmarokでiPodの楽曲管理も行っているが、Media Transfer Protocol(MTP)デバイスを含めた各種デバイスもAmarokではサポートされている。

 Amarokでメディアプレーヤを扱う場合、最初にAmarokへのデバイス登録が必要となることもある。新規デバイスを登録するには、 Settings -> Configure Amarokを選んでからMedia Devicesを選択する。一般的なデバイスであればAmarokのAutodetect Devicesボタンで認識される可能性が高いが、自動認識されなかった場合はAdd Deviceボタンをクリックしてユーザーが手動で登録をしなければならない。Add Deviceで行うのは、デバイスの認識に必要なAmarok用プラグインの設定である。こうしたプラグインとしては、汎用デバイス、iPod、 Creative Nomad Jukebox、iRiver iFPデバイス用のものが提供されている。

 音楽ファイルをデバイス側にコピーさせるには、Collectionブラウザを表示させて、該当する曲名、アルバム、アーティスト、ジャンルなどのいずれかを右クリックし、Transfer to Media Deviceを選択する。この操作は選択した楽曲をメディアプレーヤへの移動キューに登録するだけのものであり、この段階ではファイルのコピーはまだ行われない。実際のコピーを開始させるには、Media Deviceブラウザに移動してからツールバーにあるTransferボタンをクリックする必要がある。その後はAmarokにより、USB接続が許す限りの高速度でファイル転送が行われるはずである(とは言うものの転送する総量が10GBを越えるような場合は、精神衛生上、席を外して気分転換にコーヒーでも飲むようにすることをお勧めする)。

 Amarokには、Music Sharingデバイスという機能も用意されている。これはメディアプレーヤではなくDigital Audio Access Protocol(DAAP)共有を用いたミュージックソースとの接続をするための機能である。具体的な用途としては、mt-daapdの実行サーバ、iTunesを実行中のコンピュータ、ないしはDAAP共有によるプレイリストの公開を行っているメディアプレーヤを実行しているコンピュータへの接続を行う際に利用する。

 DAAP共有については1つ注意しておくべき点がある。iTunesがバージョン7に“アップグレード”されている場合、共有が行えないのだ。このようにAmarokとiTunes 7の組み合わせでDAAP共有が正常に行えなくなっている理由は、プロトコルやiTunesをリリースするごとに仕様を無用に変更するというAppleの悪癖が今回も発揮されたためである。まさにApple様様だといえるが、それでもiTunesとAmarokとの間で音楽ファイルを共有させたいという場合、現状でわたしから提示できる解決法は、用いるiTunesをiTunes 6に“ダウングレード”するという方法しかない。

 また、Amarokで音楽ファイルを共有させる場合、あまりに多量の楽曲を扱わせると一時的なハングアップ状態に陥ることがある。わたしが遭遇したケースでは、合計36Gバイトの音楽ファイルをmt-daapdで共有させようとしたところ数分間ハングアップしたままになり、結局データベースの一部しか読み取れなかった。この現象が腑に落ちないのは、ローカルにあるミュージックコレクションであれば、Amarokはかなり多量のデータでも問題なく扱えるという点である。また先のような問題を起こしたmt-daapdサーバにiTunesを使って接続しても、こうしたトラブルは再現されないのだ。将来的に AmarokのDAAP機能が改善される可能性もあるだろうが、正確なところは神のみぞ知るといったものだろう。

そのほかの機能

 これはわたしが気に入っている些末な機能の1つだが、Amarokでの演奏を終了させたい場合、曲の途中ではなく最後まで再生を完了させてからプレイリストを停止させるという機能が用意されている。この機能を使うには、曲目を右クリックしてStop Playing After Trackを選択すればいい。ところで、こうした機能はいったい何の役に立つのであろう?  Amarokは曲目の再生履歴を基にしたスコア管理を行うのだが、再生途中で中断した曲目については減点する仕様になっているのだ。そしてこのスコアはAmarokによるFavorite Tracksというスマートプレイリスト作成時に参照されるので、先に紹介した再生停止機能を使わずに途中停止させた曲目ほど、スマートプレイリストに登録される可能性が低くなるのである。

 どのようなソフトでも、自分で細かな設定変更を施さないと気が済まないというユーザーは常にいるものだ。そしてAmarokにはさまざまなジャンル別に事前設定されたイコライザが装備されているが、こうしたユーザーにとってありがたいことに、このイコライザもユーザーによるカスタム設定ができるようになっている。

 アルバムのジャケットを表示させたければ、ToolsメニューにあるCover Managerを使用すればいい。またContextブラウザに表示されるアルバムアイコンをクリックすると、Amazonに登録されているアルバムのジャケットが自動検索されるが、アイコンを右クリックすればユーザーが手動で設定することもできる。わたしの使用経験からすると、Amazonの検索で正しいジャケットが表示される確率は80%程度であるが、Zombina and the Skeletonesといったマイナーなアーティストのアルバムを探させる場合はあまり当てにできないと覚悟しておいた方がいいようだ。

 Amarokには、楽曲の歌詞を検索してContextブラウザに表示させる、あるいは再生中のプレイリストをWebベースのインタフェースに一覧させるなど、各種の操作を行うためのスクリプトが用意されている。そのほかのスクリプトが必要であれば、KDE Get Hot New Stuffシステムを介してAmarokに追加ダウンロードさせることもできる。既存スクリプトを操作する、ないしは新規スクリプトをインストールするには、Tools -> Script Managerを選択すればいい。Script Managerでは、インストールしたスクリプトの起動/停止および各種の設定を行うことができる。

 Amarok wikiには各種のAmarok用スクリプトが紹介されており、プログラミングの素養を持つユーザーが独自にスクリプトを記述したい場合は、そのためのノウハウが解説されたHOWTOページが参考になるだろう。

 Amarokには若干の不具合が残されてはいるが、わたしが過去に使用した中でも最高のミュージックプレーヤ/楽曲管理ソフトウェアだといえる。豊富な機能を備え、巨大なミュージックコレクションをトラブルフリーで管理でき、iPodとの接続も可能なAmarokが自由に使える限り、わたしの所有する最新のiPodをiTunesで管理することは今後まずないだろう。

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