「HP StorageWorks AiO」が中小企業にもたらすネットワークストレージの力DASよ、さらば(2/2 ページ)

» 2007年01月31日 18時00分 公開
[ITmedia]
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SANの導入障壁を取り払うStorageWorks AiO

 これを解決するため、StorageWorks AiOでは、SANシステムとしてiSCSIを採用している。ファイバチャネルの代わりにイーサネットを利用するiSCSIは、ファイバチャネルに比べて初期導入コストを大幅に低減できる。小規模からスタートすることの抵抗感は少ない。さらに、AiOではバックアップ機能も統合されているため、ストレージを1カ所に統合し、集中管理することによる運用管理コストの削減効果がすぐに実感できる。SANの効果を確認しながら段階的に移行を進められるこのメリットは、中小企業ユーザーに根強く残るSANの導入障壁を解消する上で大いに役立ちそうだ。

 このほか、運用管理インタフェースが統合され、最小限の操作で各種機能が実行できるように工夫されている点も重要なポイントとなる。単にリモートに大容量のファイルシステムが見えているだけというNASとは異なり、SANではストレージ上に領域を確保し、それをサーバへ個別に割り当てる。利用状況も個別に管理することになる。こうした作業はSAN特有のものなので、SANを導入した経験のない管理者には未知の作業となり、不安を感じても無理はない。

管理インタフェース AiOが搭載する管理インタフェース。アプリケーションごとのビューやストレージごとのビューなど、ストレージ管理の経験の少ない管理者でも簡単に管理できる

アプリケーションに対応した「データ移行ウィザード」

 また、稼働中の「Microsoft Exchange Sever」などデータ領域をネットワークストレージに移動するとなると、稼働中の環境を破壊することなく設定変更を実現する必要がある。これも簡単な作業とは言い難い。

 AiOでは主要なアプリケーションに対応する「移行ウィザード」が用意されており、作業が大幅に自動化される。Exchangeの場合であれば、通常6つのユーザーインタフェースを使い分けながら、30ステップ以上の作業を数時間費やして正確に遂行する必要がある。この作業をAiOでは移行ウィザードにより、単一のインタフェースから10回以下のマウスクリックで完了できるようにしている。

 「SANか、NASか」という問題とは別の話だが、こうしたストレージ管理特有の知識や作業経験に乏しい管理者でも容易に運用管理を行えるように工夫している点は、中小企業向けの製品としてよく練り込まれているという印象を受けるところだ。

 AiOの市場投入によって、やや停滞感もある中小企業のネットワークストレージへの移行が促進されることになるのか、今後の市場の反応が楽しみな製品である。

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