米国のIT関連職種、派遣が正社員の雇用需要を上回る見通し

カリフォルニア州の労働市場調査会社によると、米国では今後、雇用全体が年率1.2%で拡大する見通しであるのに対し、派遣などの一時雇用は3.8%伸びると予想されている。特に需要が高いのはIT関連職種のほか、事務/管理業務のサポート、配送/物流、製造などである。

» 2007年02月06日 15時14分 公開
[Deborah Perelman,eWEEK]
eWEEK

 米国の労働市場では、向こう10年間にわたりコンピュータ、管理および法務分野の職種で人材需要が非常に高く、一時雇用は雇用全体の3倍のペースで増加する見通しだ――2月5日に公表された「2007 Temporary Jobs Guidebook」レポートはこのような予測を示した。この報告書を作成したのは、カリフォルニア州ロスアルトスにある労働市場調査会社のStaffing Industry Analystsである。

 ITワーカーへの需要は相変わらず根強く、今後もこの傾向が続く見込みだ。報告書で今後10年間にわたって最も高い伸びを示すと予想されている5つの派遣職種はいずれもIT関連である。中でもネットワークシステム/データ通信のアナリストの需要は、年率8.5%と最も高い伸びが見込まれている。

 コンピュータ/数学分野全体の人材派遣の需要は、年率5.5%で拡大すると予想されている。管理分野の需要は年率5.2%、導入/保守/修理の分野は年率5%の成長が見込まれている。

 Staffing Industry Analystsのチーフアナリスト、バリー・アシン氏は、「われわれの分析から判断すれば、米国の企業社会は今後10年間にわたり、ビジネス目標を達成するのに必要な高いスキルを持った人材を確保するのが困難な状況に直面する可能性が高い」と述べている。

 「その結果、雇用者にとっては、スキルを持った派遣スタッフの費用が高騰する一方で、これらのワーカーを確保するのに時間がかかることが予想される。人材派遣会社にとっては、派遣労働者の需要増大は当面、ビジネス拡大のチャンスがあることを意味する」(同氏)

 「米国の労働力構成の根本的な変化、ならびに専門職の失業率の低下傾向の結果、派遣労働に対する需要は求人需要全体よりも高い伸び率を示すと予想される」と報告書は記している。雇用全体が年率1.2%で拡大する見通しであるのに対し、派遣などの一時雇用は3.8%伸びると予想されている。

 報告書では、チームアセンブラー(チームで働き、製品または製品コンポーネントの製作を請け負う個人)に対する需要の急拡大も指摘している。この1年間で、450社を超える人材派遣会社がこういった形態で働く労働者の提供を開始した。これは約50%の増加率となるもので、このカテゴリーに属する米国の派遣労働者の総数は11万人を超え、労働市場での比率は9.2%となった。

 派遣労働の需要の伸びが正社員の雇用需要を上回ると予想される分野は、そのほかにも事務/管理業務のサポート、配送/物流、製造などがあり、これらを合わせると今後10年間の派遣スタッフへの需要の75%近くを占めると予想される。非熟練労働者および貨物/在庫/資材運搬スタッフだけでも、米国の人材派遣需要の16%を占めるとみられる。また、医療従事者の深刻な不足により、今後10年間はスキルを必要とする派遣専門職として最も就職者数が多いのは登録看護師となる見込みだ。

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