グローバル時代の企業と人材像とは(2/2 ページ)

» 2007年02月07日 08時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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企業を率いるリーダーシップ

 大井川氏は、企業の国際競争力低下について「ITに投資するという行動自体で満足してしまう傾向が長らく続き、投資効果も部分最適化に留まったのが原因だ」と話す。また、巨大な国内市場に依存する体質やアプリケーション開発での言語の障壁が日本企業のグローバル化を遅らせたとも指摘する。

大井川氏 大井川氏

 「今後は人口が減少し、現在の利益水準を維持するのが難しい。必然的に世界市場へ出ていくことになる」と大井川氏はいう。グローバル化には、各部門が機能的に連携するITシステムを全社規模で構築することが求められ、「全体を俯瞰してリーダーシップを発揮する自律型の人材が必要とされている」と述べた。

 IT教育については、「例えばデジカメの写真をPowerPointに貼り付けてアルバムを作ったというような授業レベルでは不十分。TREEプロジェクトのように、タブレットPCのスライタスでディスプレイに自由に何か描く、創造的な取り組みが重要だ」としている。

国際感覚と創造性の両立

 現在シンガポールに居住するアメリオ氏は、国際都市で知られるシンガポールについての印象を始めに紹介した。「国民には『国際人』という意識が浸透している。英語が公用語であり、人種も多様だ。お互いを理解する姿勢が子供時代から育まれ、大人になってもその姿勢が活かされている」という。

アメリオ氏 アメリオ氏

 シンガポールは、環境の変化に合わせて自らの手で国家の構成を再構築した。「これがグローバル化の成功要因だ」と、アメリオ氏は指摘する。「今の仕事にしがみつくのではなく、新しい仕事を初めなければならない」とアメリオ氏。

 また、教育についてアメリオ氏は「素直に意見を出せることが大切。ITで創造性を育み、新しいことへチャレンジできる環境が求められる」と話す。そのためには教育環境を変革するリーダーシップ型の人材が必要だという。

 そのような人材の育成には、「子供たちがヒントだ」とアメリオ氏は話す。現代の子供たちは、携帯電話のメールやゲーム機能をごく自然と使いこなす。アメリオ氏は、タブレットPCのペン入力のようなアナログ的なコンピューティング環境がITリテラシーの高い子供たちの創造性を育むとして、「今の時代の課題を、未来の大人が解決してくれるだろう」と述べた。

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