「あ・うん」が幅を利かせるニッポンの会社にSAPの回答は?Interview(1/2 ページ)

パートナー向けカンファレンスのために来日したSAPアジアパシフィックのマクブライドCEOは、エンタープライズSOAならニッポンの会社のビジネスプロセスも変革できると話した。

» 2007年02月15日 09時07分 公開
[浅井英二,ITmedia]

SAPは毎年、アジア太平洋の各地域で一連のパートナー向けカンファレンスを行っている。2月中旬、「SAP Field Kickoff Meeting '07 Tokyo」のために来日したSAPアジアパシフィックの社長兼CEO、ジェラルディン・マクブライド氏とSAPジャパン社長、ロバート・エンスリン氏に話を聞いた。

SAPジャパン社長のエンスリン氏とは、マクブライド氏がSAPに入社して以来14年の同僚だという

ITmedia アジア太平洋地域の業績はいかがですか。

マクブライド 昨年はSAPにとっては成長の年となりました。日本を含むアジア太平洋地域のソフトウェアの売り上げは12%増加し、特に日本は力強い成長を遂げ、17%増を記録しました。

 アジア太平洋地域は興味深い市場です。日本やオーストラリアのように大きく、そして成熟した市場もあれば、インドや中国のように成長著しい新興市場もあります。とても多様性のある地域です。われわれは「グローバルに考え、ローカルに活動する」という戦略を持ち、グローバルな戦略を日本や中国、インドといった市場に合った形でそれぞれ適用しています。

ITmedia 市場の特性はいろいろだと思いますが、特に成長しているセグメントはSME(中堅および中小企業)ですか。

マクブライド そうです。それはアジア太平洋および日本の全域で言えることです。われわれの顧客の約65%はSMEであり、2010年までにはSMEの売り上げが50%を占めるようにする目標を掲げています。しかも、そのうちの60%はチャネルパートナーを介した売り上げにしたいと考えています。この地域でパートナーの役割は非常に重要です。

 また、この地域では、SOA関連製品の売り上げも伸びています。SAPでは「エンタープライズSOA」と呼んでいるものです。われわれには、パッケージアプリケーションを望んでいる企業だけではなく、テーラーメードやカスタム開発を好む企業に向けた強力なソリューションもあるということです。エンタープライズSOA関連の売り上げは、年率50%以上の成長を遂げています。

 特に日本市場で大きな成長の機会があるとみています。とても多くの企業がカスタム開発を望んでいるからです。

 われわれの技術は既に利用可能であり、SAPのエンタープライズSOA技術を活用すれば、柔軟性に富んだ高い品質のSOAが実現できます。

ITmedia インダストリーごとで見るとどうでしょうか。

マクブライド われわれには、半導体製造、公共、金融、および小売りなどの業種別ソリューションに強みがあり、それらの売り上げが成長しています。

ITmedia ソフトウェア売り上げの伸びを見ると、日本がアジア太平洋地域の平均を上回りました。どのように評価していますか。

マクブライド 驚くことではありません。日本は世界第2の経済大国であり、当然成長してしかるべきだと考えています。

バリューエンジニアリングもアジア太平洋地域に

ITmedia エンスリン(SAPジャパン)社長は、本社で「バリューエンジニアリング本部」の立ち上げに関与し、日本でも昨年からERP導入によるコスト削減や売り上げ増などの効果をプロジェクトの企画段階で算出するサービスを展開しています。このサービスに対してアジア太平洋地域の顧客は興味を示していますか。

マクブライド バリューエンジニアリングのサービスは、この地域では日本が最初に提供を開始しました。現在、ほかの地域への展開を準備しているところです。特に韓国、中国、インド、オーストラリアなどの市場に適しており、十分に役に立つと考えています。

 バリューエンジニアリングのサービスは、われわれSAPの技術を活用することによって増すビジネス上の付加価値を可視化するもので、特に大企業で役に立つと考えています。

ITmedia アジア太平洋地域に進出している日本企業に対してSAPはどのような支援を行っているのでしょうか。

マクブライド われわれはグローバルカンパニーです。既に、この地域に限らず、グローバルにビジネスを展開している日本企業をサポートしています。

エンスリン ニューヨークのマンハッタンには日本をはじめ、世界中の商社が拠点を置いています。SAPはグローバルな会社としてサポートしています。同様にアジア太平洋地域のほとんどの国と地域で日本企業をサポートできています。

マクブライド われわれは小さな欧州の会社ではありません。真にグローバルな会社なのです。グローバルコンサルティング部門も1万5000人の陣容を誇り、システムをグローバルに配備する際に支援しています。また、IBMやアクセンチュアといったグローバルなパートナーもあります。

エンスリン これは文化的なものだと思いますが、日本の顧客は、品質やサービスに対する高い期待を寄せています。われわれはアプリケーションプロバイダーとして日本でナンバーワンとなっています。外国の企業なのですが、日本の市場をこれほど理解している会社はないといえるでしょう。

 また、従来は米国のパートナーが存在感を示していましたが、今や富士通やインドのTata Groupといったパートナーがこの地域で強みを発揮するようになっています。

マクブライド パートナーと協業し、顧客により良い価値を提供するのがSAPの文化です。これはどの地域でも重視していることです。

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