Citrix、「Tarpon」技術をリリースへ

Citrixは2月12日、同社のアプリケーションストリーミング/仮想化技術における最新の成果となる「Tarpon」を披露した。

» 2007年02月15日 16時22分 公開
[Paula Musich,eWEEK]
eWEEK

 Citrixは、成長中のアプリケーションストリーミング/仮想化分野での取り組みに本腰を入れ始めた。同社は2月12日、「Presentation Server」のメジャーアップグレード版で、待ち望まれていた「Tarpon」技術を披露した。

 Citrixは、Presentation Server 4.5用のアプリケーションストリーミング技術を独自に開発した。対照的に巨大ベンダーのMicrosoftとSymantecの場合は、SoftricityとAltirisをそれぞれ買収することによってアプリケーション仮想化技術を手に入れた。一方、Thinstallなどの小規模ベンダーは、市場が活気づく中でこれらの大手ベンダーの影響力に便乗する考えだ。同社は「Application Virtualization Suite」を強化した。

 アプリケーションストリーミングは、アプリケーションをオンデマンドで配信し、クライアント上で動作させる技術。これらのアプリケーションは隔離モードで実行され、クライアントマシンの構成やWindows DLLは変更されない。このため、異なるアプリケーション間、あるいは同一アプリケーションの異なるバージョン間でのコンフリクトが起きる心配がない。

 Yankee Groupの業界アナリスト、ズース・ケラバラ氏によると、TarponはPresentation Serverの「最大の弱点」、すなわちシンクライアントが接続されていないとアプリケーションにアクセスできないという問題に対処するものだという。「クライアントは常時接続していなくても、定期的に接続するだけでよい。さまざまなアクセス方法に対応したことで、ユーザーにとってはどのアクセス技術を利用するかという選択肢が大きく広がった」とケラバラ氏は話す。

 Presentation Server 4.5は、ユーザーやアプリケーション、デバイス、ネットワークコネクションなどに応じて最適なアプリケーション配信メカニズムを動的に決定することができる。

 フロリダ州フォートローダーデールに本社を置くCitrixで仮想化システムグループのゼネラルマネジャーを務めるスコット・ヘレン氏は、「どんなポリシーであろうとも、ターミナルサービスを行うのか、それとも実行可能ファイルをストリーム配信するのかを選ぶことができる。ストリーム配信されたアプリケーションは隔離環境に置かれ、接続しているかどうかにかかわらずアクセスできる」と話す。

 ボストンにある法律事務所、Morrison Mahoneyでディレクターを務めるフランク・ノートン氏はCitrixのユーザーで、「1年ほど前にこの技術を見て以来、ずっと待ってきた」と話す。

 「システムイメージに含めてデスクトップに配備したくはないけれども、時たま必要となるような小さなアプリケーションを配信するのに役立つ。これにより、デスクトップを施錠した状態を維持しながら、弁護士や秘書がクライアントを支援するのに必要なリソースを提供できるようになる」(同氏)

 サンフランシスコに本社を置くThinstallでは、ユーザーが複数のアプリケーションを単一の実行可能ファイルにパッケージする技術を提供している。この実行可能ファイルはユーザーモードで動作させることができ、アプリケーションをインストールしたり、ローカルデスクトップのレジストリやDLLを変更したりする必要はない。

 同社が2月6日に発表した「Application Virtualization Suite 3.0」は、アプリケーションの変更を1つのディレクトリに隔離する。また、コンフリクトを起こす複数のアプリケーションを同時に動作させることができるほか、ファイルベースの永続型の仮想レジストリが追加される。

 こういった技術の目的は、ユーザーのためにアプリケーションのコンフリクトを排除し、IT管理者のために管理の労力を軽減することにある。この目的に向け、CitrixはPresentation Server 4.5で新しいユーザーパフォーマンスモニタリング機能を追加し、各種のアプリケーションでユーザーが体験するパフォーマンスを管理者が把握できるようにした。

 これはエージェント方式の技術で、ユーザーはPresentation ServerのICA(Independent Computing Architecture)プロトコルストリームを組み込むことにより、各アプリケーションのパフォーマンスを詳細に把握することができる。「3、4本のアプリケーションを動作させている場合でも、電子メールは遅延を比較的許容できるのに対し、CRM(カスタマーリレーションシップ管理)では素早い応答が要求される。つまり、同じセッションの中でも異なるレベルのパフォーマンスが求められるということだ」とヘレン氏は説明する。

 マサチューセッツ州ウスターにあるFallon ClinicでITインフラを担当するディレクター、スーザン・ポール氏は、「われわれにとって、これは非常に大きなメリットがある。われわれはたくさんのモニタリングツールを持っているが、Citrixセッションの中を直接見ることはできなかった。新しいモニタリング機能では、クライアントおよびCitrixサーバ上で動作しているアプリケーションの状態、そしてバックエンドのデータベースとのやり取りを把握することができる」と話している。

 こういった機能強化に加え、Citrixはこれまで別々だったPresentation Managerの32ビット版と64ビット版のコードベースを統合することにより、1台のサーバでサポートするユーザー数を増やせるようにした。

 さらに同社は、医療分野やGIS(地理情報システム)マッピング分野における画像アーカイビングや通信システムなどのグラフィック主体型アプリケーションのパフォーマンスを改善する「SpeedScreen Progressive Display」と呼ばれる新機能も追加した。Presentation Server 4.5は3月1日にリリースされる予定。

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