エクストリームが説明、「QoSが普及していない理由は……」

エクストリーム ネットワークスは、同社の今後の戦略を発表するとともに「ExtremeXOS」の新バージョンで実装した「ユニバーサル・ポート」機能の概略を説明した。

» 2007年02月16日 19時19分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 エクストリーム ネットワークスは2月16日、同社の今後の戦略を発表するとともに、独自OS「ExtremeXOS」の新バージョンで実装した「ユニバーサル・ポート」機能の概略を説明した。

 同社代表取締役社長の井戸直樹氏はプレゼンテーションの中で、「ネットワークの役割は変化し、つながためのコネクティビティから、ネットワーク全体のコントロールが求められるようになった」と述べた。その意味するところは、よりインテリジェントなネットワークが求められるということだ。

エクストリーム ネットワークス代表取締役社長の井戸直樹氏

 井戸氏は、ネットワークがコモディティ化し、PCやプリンタ以外にさまざまなデバイスが接続されるようになればなるほど、柔軟な制御が求められるとした。ユーザーや管理者がわざわざ設定し、教えてあげなくとも、ネットワークのほうが何がつながっているかを自動的に認識し、適切な設定を行う機能が求められるという。

 「QoSという言葉が登場して10年たったけれど、いまだに使われていない。なぜかというと使いにくいから」(同氏)。QoSに合わせてアプリケーション側をチューニングするのではなく、アプリケーションやサービスに合わせてネットワークが動的に対応する仕組みが求められるとした。

 その鍵となるテクノロジーとして同社が掲げているのが、「可視化」と「制御」だという。

 2006年8月に米Extreme Networksの社長兼CEOに就任したマーク・カネパ氏は、「IP Everywhere」「Ethernet Everywhrer」というこれまでのビジョンに続き、数年前からは「Policy Based Switching」を提唱してきたと述べ、それに基づいて「Insight」(可視化)と「Control」(制御)を実現していくと述べた。

 「あらゆるパケット、あらゆるフローを把握し、詳細な情報を得る。そしてそれらの情報に基づいて、プライオリティに応じた処理を行い、ときにはDoSなどの脅威を排除する。こういった機能を提供できることがわれわれのユニークな点だ」(カネパ氏)

ネットワークの世界のUSBポート

 このビジョンを具現化する機能の1つとして紹介されたのが「ユニバーサル・ポート」だ。2006年12月にリリースされたExtremeXOS 11.6で実装された。

 ユニバーサル・ポートとは、一言で言えばPCにおけるUSBと同じように「つなげば動く」仕組みを実現する機能だ。802.1xによる認証と、接続された機器の情報を収集するLLDP(Link Layer Discovery Protocol(LLDP)、ExtremeXOSが備えるスクリプト機能を組み合わせ、管理者が走り回らなくてすむ仕組みを提供するという。

 この機能では、あらかじめポリシーを反映したスイッチに何らかの機器を接続すると、ネットワーク管理者やユーザーが設定を行わなくとも、LLDPを通じて端末の詳細情報がやり取りされ、それに応じたVLANやQoSなどの設定が適用される。IP電話機の場合は、Power over Ethernetで供給すべき電力の情報まで自動的に最適化されるという。

 また802.1x認証の結果に応じて動的にACLを適用することで、ユーザーごと、グループごとのアクセス制限が可能だ。「就業時間のみ無線LANを利用される」「セキュリティポリシーに違反した端末は切り離す」といった具合に、ポリシーを作りこんで柔軟に制御することも可能という。同社では、このポリシー管理用のツール「EPICenter Universal Port Manager」を2007年第2四半期に提供する予定だ。

Summit X450e-24PとAvaya製IP電話を組み合わせたユニバーサル・ポートのデモンストレーション

 井戸氏はまた、「一昨年はネットワークベンダー全体にとって厳しい年だったが、今年はアプリケーションやサーバ統合などが完了し、いよいよ投資が新しいネットワークに向くのではないか」と期待を語った。2007年は、ExtremeXOSを軸に、Avayaをはじめとするパートナーとの連携を深め、特に新規ビジネス展開やソリューション開拓を進めていく方針だとした。

 特に「日本の企業におけるIP電話の普及率は30%程度で、欧米の70%に比べると低い。技術的には出揃っているのだが、コスト削減以外に、新しいビジネスや面白いアプリケーションが見えていない。キラーアプリケーションの登場によって、数年以内に日本でもIP電話ブームが来るのではないか」(井戸氏)とし、技術だけでなくアイデアも含めた啓蒙を進めていきたいとした。

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