SAPジャパンは、アップグレードに慎重なR/3ユーザーを対象に、最低約300万円、平均6カ月間で最新のmySAP ERP 2005へ移行させる支援策を打ち出した。
SAPジャパンは2月22日、SAP R/3などの旧バージョンのユーザーに向けた「mySAP ERP 2005」へのアップグレード支援策を発表した。パートナーを通じて移行ツールの提供やアセスメントを行うコンサルティングパッケージサービスを300万円から提供する。
同社は冒頭、現行の最新バージョンであるmySAP ERP 2005への移行状況について、「ERPパッケージのメリットは、メーカーの提供する新機能を業務に取り込んで、ビジネス環境の変化に対応していくことだが、アップグレードはほとんど行われていないのが現状」(SAPジャパン 林徹シニア・バイスプレジデントフィールドサービス統括本部長)と説明。R/3 4.6C以前のユーザーの6割は、まだ移行するかどうかを検討している段階だという。
検討中のユーザーの大半は、新バージョンへのアップグレードがTCO削減になるのか、アドオンが移行できるのか、現システムの安定稼働が阻害されないかを憂慮しており、こうしたユーザーをメインターゲットに移行支援策「テクニカルアップグレード支援パッケージ」を実施する。あくまで「アップグレードは必須ではなく、その価値の明確な判断ができるよう情報を提供していくことが目的」としている。
テクニカルアップグレード支援パッケージには、移行の価値評価やコスト見積もりなどのアセスメント、ツールを使った移行サービス、サポートサービスなどが含まれる。ツールによる単純な移行サービスの提供は300万円程度で、アセスメントサービスは100万円以下での提供となる。また、ユーザー環境によりアドオンプログラムの改修・調整が必要なケースがあり、標準的なアップグレードの期間は半年、トータルでの移行コストは数千万円を想定している。
またSAPでは、アップグレード支援パッケージの展開にあたり、国内外の協業パートナーによるオンサイトコンサルティングの推進や情報提供を行う3名の専任部隊を設置した。協業パートナーとして、デル、日本IBM、NEC、日立製作所、富士通、アクセンチュア、アビームコンサルティングなどがハードの提供や技術支援、診断サービスを実施する。パートナーの教育メニューも、mySAP ERP 2005をベースとした内容に移行する。
同社は、mySAP ERPとNetWeaverとの組み合わせをSOA(サービス指向アーキテクチャー)の基盤と位置付ける。2010年のメジャーアップグレードまでの間に拡張パッケージを順次リリースして、システムの大規模な更新をしなくてもユーザーが必要に応じて機能を拡張していける仕様になっている。
「カスタマイズが容易なmySAP ERP 2005は、ユーザーが自分のワークスタイルに合ったアクセスを選べるエンタープライズサービスとそのリポジトリになる。既存のR/3ユーザーには、内部統制対策、従業員の生産性向上、SOAなどビジネス環境への対応が可能になることを移行の価値として訴えたい」(加藤慶一パートナー&マーケティング統括本部ソリューションマーケティングマネジャー)
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